まずはLearningそしてAssessment - EdTechで重視すべきこと
''Transforming Education through Emerging Technologies''のクラスの参考資料として紹介された
National Education Technology Plan (NETP)。作成者の15人のうちの1人がこのクラスの教授ということもあって、授業中もちょこちょことそこに立ち戻ることが多い。
日本でいう文部科学省にあたるU.S. Department of Educationの資料となるNETP。約2年前にオバマ政権の取り組みの一つとして発表された。
このNETPにあるのは以下の5つの分野における明確なゴール
こういう課題には、向き合っている課題に対して多くのメンバーが語り合い、認識を合わせ、共に解決方法を 試しながら学んでいくしかないのではないかと思う。
そんなチャレンジにも関わらず、段階的にちょこちょこと出て来ている変化の兆し。
最近知った面白い取り組みとしては
日本でいう文部科学省にあたるU.S. Department of Educationの資料となるNETP。約2年前にオバマ政権の取り組みの一つとして発表された。
President Obama has articulated a bold vision for the United States to lead the world in the proportion of college graduates by 2020, thereby regaining our leadership and ensuring America's ability to compete in a global economy. 」
どの国においても教育は国家戦略の一つ。「lead」「leadership」「ensure ability to compete」と力強い単語が上の一文内に使われています。
まずはLearning。EducationでもなくTeachingでもなく。
このNETPにあるのは以下の5つの分野における明確なゴール
- Learning
- Assessment
- Teaching
- Infrastructure
- Productivity
ゴールの内容そのもの加えて↑この順番こそが重要だ、というDede教授。
「Education(教育)でもなくTeaching(教える)でもなく常にLearning(学ぶ、学び)から始めるべきと考える」という彼のメッセージはちょうど
9月10日に日本で発行されていた雑誌WIREDと通じるものがあるかも、とふと思ったり。(同雑誌のタイトルは「未来の学校」)
ちなみにそれぞれの分野にはある副題は以下の通り・・。
- Learning: Engage and Empower
- Assessment: Measure What Matters
- Teaching: Prepare and Connect(→Edmodoの普及も納得)
- Infrastructure: Access and Enable
- Productivity: Redesign and Transform
この授業では様々な参考資料などが与えられ今までディスカッションをしているけれども、結局上記に行き着くなーと思う今日このごろ。
そしてAssessment。
特に忘れられがちなのは第二のAssessmentのところの重要性。Dede教授もAssessmentのあり方が変わらないとPlanにある他の要素は無意味、と断言。
アメリカでは先生や学校の評価が全国レベルのテストの点数だったり卒業率であったりとにかく定量データで一律に測られてしまう傾向がまだ強い。いかに「21世紀型」の教育を提供しようと現場が頑張ろうとしても、評価のあり方につながっていないと現場で起きる小さなうねりもなかなか大きなうねりにつながらない。
(日本における比喩としては社会の入り口の受け皿としての新卒採用時の
企業のあり方が変わらないと大学教育期間中の学生の意識も変わらず、大学入試の
あり方も変わらず、高校生活の内容も変わらず・・といったところだろうか)
ツール以外に重要なこと
教育のあり方を「より良くする」にはITの導入といった小手先のものだけでなく、学校現場の意識の変容であったり保護者の主体的な参画意識の醸成であったり(例えばITの利活用が進み、学ぶ子ども達により良いカリキュラムを導入すると@学校と@家庭という区切りがどんどん薄れてく)、新しい学びの場の現状を踏まえた政策内容の追加/変更など、色々なことを同時に考慮しなくてはいけない・・・新たな有益な形の評価(Assessment)方法の導入もその一例。
ITの導入という新しいチャレンジにぶつかり悩んでいるこちらの学校現場の現状を学んでいくにつれ、前職の業務でみていた企業が新しい取り組み(新しい戦略実行、組織文化の変容)時に抱える悩みと似ているな、と感じることが多い。
例えば
・実際に動いてもらう必要のある現場には時間がない
・現場に上から与えられる職業訓練のあり方は効果がないものが多い
・「描かれたプラン」を現場が実行するためのインセンティブがないことが多い
・新しいことを始める勢力に対して抵抗する大多数が必ず存在する
・ステークホルダー間でのビジョンの共有&対話が足りていないことが多い
・・・などなど
簡単に全てのケースにぴたりと当てはまる解決法(HOW)はそもそもない。
こういう課題には、向き合っている課題に対して多くのメンバーが語り合い、認識を合わせ、共に解決方法を 試しながら学んでいくしかないのではないかと思う。
The significant problems we face cannot be solved at the same level of thinking we were at when we created them. (Albert Einstein)
変化の兆し
そんなチャレンジにも関わらず、段階的にちょこちょこと出て来ている変化の兆し。
最近知った面白い取り組みとしては
- 教師に対する評価のあり方にイノベーションを起こしているteacherspayteachersの存在だったり(先生たちが自分のノウハウをマーケットに出して収入を得るというプラットフォーム。億万長者になった先生のことが話題になっていた)
- カリフォルニア州で州立学校(高校)の評価基準のあり方を州の法律で変えたという記事があったり(今までは全国テストの結果が評価の100%を占めていたがそれを60%を上限にする、といったもの)
- Creativityなどの「21世紀スキル」を評価するための参考資料が紹介されていたり・・・「What to test instead」という記事が出されたり。
すこーしづつ変化の歯車が現場に影響を与える形で動き始めているのかもしれません。
- ちなみに教育xIT関連情報ソースでオススメはEdSurge。英語でしかも大量なのですが、とても気に入ってます。