Tomoko Matsukawa 松川倫子

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ボストンでテロ

既に世界中で報道されているボストンマラソン大会で起きたテロ事件。

最近毎日聞こえていた小鳥のさえずりも全く聞こえなくなるような、 心臓がきゅっと締め付けられるような恐ろしい事件。

実はFacebookやtwitterで私とつながっている人はもうご存知かもしれませんが 私は2001年の911のテロの時もアメリカでした。そのときは 大学1年生として人生初めての留学生活を始めた直後。そして今回。


たった1年のプログラムのために留学していた最中に自分のいる州で またテロが起こるというのは自分が不吉の種のような気さえしてくる 嫌な偶然の一致です。

今日は授業のない1日で、週末にレポート短期集中書き上げをしていた反動で いつもより長い間寝てしまって、9時過ぎにのんびりと起きました。

本当ならばWGBHという地元のテレビ局でのインターンが月曜はあるのですが 今日はボストンマラソンがある関係で、WGBHはお休みでした。 別のインターン先に11時頃に行き、1時半まで働いた後に 銀行→郵便局→図書館のカフェで遅め昼食。というとても平和で ゆったりとした午後を楽しんでいました。


夜は某社のデザイナーの日本人の方とディナーをする予定があったので それまで宿題をしよう、そう思いながらいつものようにfacebookや twitterを眺めていました。

すると、友達のFacebookのフィードにボストンマラソンゴール地点で 爆発のニュースが突如登場。メッセージは'please be careful everyone!'。 え?何これ?と思い、すぐtwitterにいきました。 (以前twitterでこの動画 [Celebrating #Twitter7] を共有したときに  「非常事態時のtwitterの底力を感じる」的なことをつぶやいたのですが、 最近google上の情報よりも圧倒的な速さ&多様性を体感することがあります。例えば地震のこと、例えば鳥インフルエンザのこと。とくにスピードが重要な情報に関してはその有り難さを痛感します。 もちろんソースの信憑性は自分の目と勘で判断しないと振り回されますが)

まずはTwitterで"bostonmarathon"で検索して出て来たものを眺めたり、 そして自分の大学の学部コミュニティのFacebook Wallの投稿を眺めたり あとはMIT卒業生でボストン生活が長い女の子が仲良しグループメンバーを 入れたDirect Messageに色々とポストしてくれたのでそれを使って 皆で情報共有&更新をしていきました。気付くと周りもザワザワとし始めていて。みなノートPC上で課題などをしていた人がニュースの知らせを聞き始めてパソコン上でニュースのストリームなどを流し始めたようです。携帯のSMSもぶーぶーとなり続け、しばらくしてから図書館のフロアに唯一ある液晶画面でCNNが映されていることに気付きました。LINEやWhatsappやTwitterでコンタクトをくれた友達もいましたが、911の時とは違ってEmailで「大丈夫?」が来たのは父親からだけでした。家族はLINEグループでいつも会話をしていたので、

そちらのほうからも家族からの連絡は届いていました。インド、香港、日本、イギリス・・と色々なところからの友達が気にかけてくださって本当に感謝感謝の気持ちでいっぱいです。 また、現地の警察のtwitterアカウントや、「これをフォローすべき」 といった集合知も学生同士で瞬時に形成されていき、「皆一緒に近くにいる、 出ている情報は押さえている」ということで相当のpotentialパニック度が 軽減されていたとは思います。とはいえドキドキした気持ちは収まらず、 午後はほとんど勉強に手がつきませんでした。

ディナーも一旦キャンセルにし、友達と図書館閉館ギリギリまで(あまり 一人でいたくなかったから)残った後にガランとした道(人はもちろん 普段路上駐車されている車もいなくなっていました)を早足で歩き寮に戻りました。。。。この時期は期末の追い込みでハードなので 寮もひっそりとしています。

部屋で寝る支度をしながらTwitterやwebでの情報をキャッチアップしながら 「2001年の時はマスメディアがここまでネットやSNS上で発信して  なかったなー。というかYouTubeもTwitterもなかったし・・」とかも 思っていました。(ということで今日はまったく課題が進んでいない自分です)

暗い話ばかりで(被害者の数増加の話、亡くなった一人は8歳の男の子だった話、けが人の数が増えている話、重体者がまだ20人弱もいるという話、けが人にはボストンの他の大学生もいるという話、Newtownの銃乱射事件の(過去のエントリー)被害者の追悼を今回のマラソン大会が兼ねていたため関係者が現場近くのVIP席に招待されていたという話、両足または片足をなくされた方が20人以上はいるかもしれないという話) 気持ちは落ち込むばかり・・・・特にこういうのをスルーできない自分は なんだか影響を直接的に受けたわけでもないのにぐったりです・・


そんな中少しだけ以下のクラスメートのFB投稿に励まされました。 ""It was not only Tax Day and Patriots Day, it was Responders and Civilians Running Towards The Bomb Blasts Day, Hospitals Comforting the Injured Day, Marathoners Running to Donate Blood After the Race Day, Bostonians Opening Their Doors via a Big Google Doc Day, and Friends and  Families Reaching Out to Each Other Day. Amid the horrors of the day, I'll try to remember these great acts of human amazingness." - Harvey S.

確かに、献血の働きかけやGoogleのPeople Finderの立ち上がり、とても素早い動きでした。オバマ大統領の声明も迅速に出されていたし、エリア内で不審物通報がされる度に機動して安全確認を行い、twitter上で「it is clear now」をタイムリーに発信してくれていた ケンブリッジの警察隊の活躍。自分が今回驚いたのはマラソン大会に参加していた 人などで今日泊まる宿がなくなってしまった(または交通足止めされて しまった)人を対象に「うちに泊まってください」の案内をする Google Documentがいつのまにか立ち上げられていたこと。 個人情報満載のこのDocument、悪用されるリスクもあるとは思うけれど そのリスクを顧みず、助けを必要としている人に対してすぐ行動する このスピード感。東日本大震災の時の日本人のresiliencyに人は感嘆の声を 世界からかけていただいたけれども、今回のことを見ると辛いときに 全体としてresiliencyを発揮するのは世界共通なんだな、と思いました。

政府の対応も柔軟性&スピード感があり、素晴らしいと感じました。 たとえば今日4月15日はtax filingの〆切日。所得税や住民税関係の 書類を提出しなくてはいけない年一回の重要な日。 早速ボストンの人達には期限を延長させる、というアナウンスがあったり。 明日は実は最近大きな改革がされるのでは注目されていた移民政策関連の声明発表が予定されていたようだけれども、これも延長する、とアナウンス済み。 戦争や国内での悲惨なニュースが絶え間ないアメリカという国ではあるものの、そういう危機的状況/絶望を感じさせるような事件が起きたときのこの国の人の精神性、前を向いて、一丸と立ち向かおうとするパワーはやはりなんだかすごいものだな、と感じます。そしてキリスト教の国らしく、こういうことが起こると必ず pray for...(...の為に私は祈ります)というフレーズがたくさん使われます。

まだ犯人像についてはまったく情報がありませんがテロ組織集団か孤立していた個人ぐらいしか可能性がない気が個人的にはしています (とはいえノルウェーの時のように一見普通っぽい個人の可能性もあります)

前者だった場合を考えるとこういう形ではなく歩み寄りや対話が何故できないのか (最近白黒つけたがる人が世の中にはまだまだ多いなということをネット上の様々な意見の対立を見てて思います。佐々木さんのブログで知った「なめらかな社会とその敵」は日本に帰ったらチャレンジしたいと思う本の一つです)という点で悲しくなりますし後者だった場合を考えるとこうなる前に周囲の(社会、親、友人)レベルで サポートすること、理解することが何故できなかったのか、という点で悲しくなります。

起きてしまったことに暗くなっていてもしょうがないので、 前を向いて自分の出来る事をし続けるしかないのですが改めて今回被害にあわれた方々、そのご家族の方々には 心よりお悔やみ申し上げます。