Tomoko Matsukawa 松川倫子

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違うセクターで働きながらも出来る事

「働きながら、社会を変える。ーービジネスパーソン『子どもの貧困』」挑む」という書籍との出会い。そのときに感じたこと。今夜はそんなことを思い出させるような夜でした。

そんな道があることを知らなかった時期

この本が発行されたのは2011年11月。既に著者の慎さんに出会った後でした。その1年半前、自分が証券会社を退職する前にこの本に出会っていたら・・・今とは違う人生を歩んでいたかもしれない、今でもそう思うことがあります。

働きながら社会問題や他人のために自分の時間を費やす、何故か証券会社時代はそんなこと、思いもしませんでした。日中(時には深夜までの)仕事とプライベートの足し算の結果は100%。「プライベート」の時間=自分の休養/娯楽のため、家族との時間のため。それ以外の考え方なんて想像もしなかった。

自分の時間の大半を使う「仕事」に何か物足りなさや違和感を覚え始めた時、真っ先に考えたのは転職か進学という道。でもそういう心構えで考えた進学という道に対してはどうしても目的意識が定まらず、転職が現状を脱するためのonly wayだ、と感じ、転職活動の道を走りました。転職先も決まる前に会社を辞めて。

当時の自分は視野が狭かったな、と今では思います。もし「働きながら〜」といった道があることや、それを歩んでいる仲間の存在を知っていたら私は当時退職していただろうか、そんなことをたまに思ったりします。

グロービスに転職して、週次開催のエコノミストを読む会に参加して、慎さんや当時その会に来ていた面白い人達に出会って。仕事とプライベート以外の場所って在るんだと考えるようになりました。

自分の人生の足し算のパーツは必ずしも仕事とプライベートだけじゃなかった。別の形でもsense of purpose、sense of belongingって見つかるんだ、そんなことを学びました。

そんな頃、発行されたあの本、読んで思いました。あぁやっぱりそうなんだ、と。

彼らの凄さ

あの時から2年半ほどの月日が流れ、今、私は仕事の一つとしてAcumenで世界中のチャプターのサポート/ナレッジメネジメントをしています。世界中の活発なチャプターリーダー達から刺激を受ける度に慎さんの本を思い出します。

チャプターは全員がボランティア、フルタイムの仕事がある人ばかり。大体リーダーと呼ばれる人達は1−2年がっつりコミットした後は次にバトンを渡し、ステップダウンします(コミュニティとは緩いつながりを維持したまま)。

物事を前に進めるパワーのある現役のチャプターリーダー達は、ほとんどがフルタイムの仕事を持ち、その内容も金融だったり弁護士だったりコンサルだったりベンチャ-だったり・・色々ハード。でも週5−10時間、イベントの前後は20時間をチャプター運営に投資するリーダー達がいます。

コミットメントレベルがバラバラの各ボランティア達を募集し、管理し、エンパワーし・・・中長期的なチャプターの成長のために次世代リーダーチーム候補も育成しなくてはいけない・・・彼女達/彼らにとっては、チャプター運営はもう一つのフルタイムの仕事のような存在です。と同時に個別にワクワクを噛み締めることのできる場所だったり、仕事を通じて出会えないような人と出会ったり、自分の仕事とは別の形での存在意義を体感できる場所だったり。(自費でニューヨークにやってくるリーダーリトリートは毎年11月に実施、去年の まとめ

そういう大きなプロジェクトに時間も心も身体も投資している彼女達/彼ら達。先日大阪チャプターの立ち上げに一番最初の頃から奮闘してくださった山口さんも証券会社出身。別の勉強会の運営にも関わる彼が忙しくない訳がないはずなのに、NYにいる私達チームとのコミュニケーションのための早朝/深夜のスカイプコール、迅速なメールのやりとり、周囲を巻き込んで行く行動力。

今日はニューヨークチャプターが企画/実施したイベントがありました。事前チケットを購入してくれた人は100人以上。このイベントのためにどれだけの労力が注ぎ込まれたのか。平日の18時前に何故皆会場に集まれるのか。きっと見えないところで色々な努力があったと想像します。でも、今夜のチームの顔は輝いていました。 一つ前のエントリ-で書いたThriveという単語がぴったりな感じ。

そこでのゲストスピーカーは今Acumenで働いている社内弁護士。彼女は15年弁護士としてプライベートセクターで働き、最後の数年は社内のプロボノプロジェクトを引っぱり、4年前に退職し、NPOに転職してきた人です。彼女も自分の人生の道を振り返りながら「自分の居場所がどこであろうとできることはある、むしろその場所にいるからこそできることを最大限やる、そして目的意識を持って行動することで、切り開かれる道もある」といったことを言っていました。

ちなみに先日のSkoll Forum(正式名称は Skoll World Forum on Social Entrepreneurship)ではintrapreneurというテーマが一つのキーワードとなっていたようです( Forbes誌の記事)、 Guardian Sustainable Businessにも記事がありました。大企業の中で働きながら、仕事を通じて出来ることも増えて来ている。むしろリソースが潤沢な環境にいるからこそ出来る事ってたくさんあると最近感じます。まだ誰もやっていないなら、前例をそこで創ればいい。上記のように、仕事の外で出来ることもボランティアという形をとればたくさんある。自分でそれもゼロから創る事だってできる。


色々と二年前の自分に教えてあげたかったことです。




今度 大阪チャプターも初のイベントを 5月18日(日曜)に企画しています。仕事もあるボランティアリーダー達は一体全体どうしてこういうことしているの?気になる方はぜひ当日会場にて。



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関連エントリ-; "Roads not taken"(もしあの時こうしてたら
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