Tomoko Matsukawa 松川倫子

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NYでW杯を観戦しながら思うこと

4年に一回のW杯が今回も始まりました!

サッカー観戦にハマり始めたのは高校1年生の時。Jリーグのジュビロ磐田のファンだった頃から。中山選手や高原選手にファンレターを出したこともあるミーハーな私。

2002(大学生一時帰国中)、2006(社会人2年目)、2010年(転職過渡期)と過去のW杯開催時は日本で観戦していたので今回が初のW杯観戦@日本国外です。

もともと野球(MLB: Major League Baseball)やバスケ(NBA: National Basketball Association)やアメフト(NFL: National Football League)に比べるとアメリカ国内での注目度が低いような気がするサッカー。

それもあって開催前は「ワクワクを共有できる現地仲間がいないかも」と少し不安になっていたのですが、各テレビ局が全ての試合を放送してくれていることを知ったのと世界中で観戦している人と一体感を感じられるソーシャルメディアの存在、そして「国際的な」同僚達の存在のお陰で楽しい試合観戦の日々になりそうです。

今回は開催地がブラジルということで週末は正午、15時、18時、21時の試合観戦三昧になりそうです。平日もおそらく同僚とサッカーの話ばかりしているかもしれません(ラテンアメリカ諸国出身者が特に熱い、笑)

で、今の段階でちょっと思うことをいくつかまとめます。

W杯観戦するということ

今思うと、日本に居た時は、日本チームのことがメディア/周囲の人の話題の中心だったな、と改めて感じます。W杯の観戦というよりは「日本チームの試合観戦」というモード。日本チームに直接関係の無い他試合に関する情報や観戦機会が圧倒的に少なかったなと思います。

一方、今回は、周囲に一緒にサッカー観戦する日本人の仲間がいないということもあり、自分のモードは完全に「W杯を」観戦するモード。日本チームが出る試合はもちろん興味がありますが、全部の試合た楽しみです。全てが世界最高峰の試合なのでそれが当たり前だと今では感じるのですが、日本では「日本の試合」がメディアを通じて過度に強調され、それに吸い込まれていたような気もします。

そんなことを感じていた時に教えてもらった便利なツール、オンラインメディアのSlateが作ってくれている インタラクティブな「予想表」。画面半ばにある「Pick Your Own」のボタンを押すと、各リーグ内の予想、そしてその結果を元に作成された決勝トーナメント試合においてもそれぞれの勝者を予想することが出来ます。こうやってW杯全体に向き合ってみると、日本チームというものが多くのmoving partsの存在するW杯のone of themになるな、と感じたりします。

自分の予想の結果では決勝の組み合わせはブラジル対ドイツ。ちなみにこのSlateの記事、もう一つ面白いのが下の「●●を元に試合結果を予想すると」の各種ボタン。S&Pのレーティングだったり、人口の数であったり、年齢であったり・・・。サッカーの面白いところはこういうデータを元にした予想がほとんど当たらない可能性が試合の最後の数秒まで秘められているところですが、データ予測の王様と呼ばれているNateのメディア 「FiveThirtyEight」でも予想が発表されています。彼は大統領選挙で有名になった人ですね。彼の予想によると日本チームが決勝トーナメントに進出する確率は31.4%だそうです。

「アート」鑑賞と似た感じ

ちなみに自分にとってのサッカー観戦は「フィギュアスケートの試合の観戦」や「バイオリニストのコンクールを鑑賞」しているのとほぼ同じ体験なのですが、必ずしもそうでない人も世の中に多いのだろうな、とも感じさせられます。私は試合の勝ち負けはもちろん気になるのですが、むしろ「プロとして日々研鑽を重ねて来たプレーヤー達が最も輝く瞬間&運命のイタズラやドラマが生まれる瞬間」を目の前で見れることに幸せを感じます。

そんな考え方をしているので、たまに、対戦相手の国のことやチームのことを貶す人達の話を聞くと、色々なタイプの観戦者がいるのだなーと思ったりします。まあ他の「アート」と違って、直接選手同士がぶつかり合うことや審判へのアピールといった駆け引きが存在するサッカーだからこそ、観戦者の感情をかき乱す要素があるというのも分かる気がしますが。

アジア勢から参加している国、日本と韓国。身体的なハンデがありつつも世界で各国の強豪達と闘う彼ら。NYに住むアジア人として彼らが参戦する試合に置いては両方を応援したいと思います。他試合は・・・観戦者の自分がより楽しめるような展開を期待します。

光と影の存在

で、W杯のような「光」を見てて最近考えるようになったのが「影」の存在。先日ニューヨークでスーパーボウルが開催された時にも出てきましたが、こういう国際的スポーツイベントの時期に常に話題になるのはSex Traffickingを含めた搾取の問題です。(2013年の記事 「Super Bowl is Single Largest Human Trafficking Incident in US」)アドレナリンで満ちあふれる街を商機と捉え、売春婦となりうる人達を強制的に街に連れてきて、ビジネスを始める人達がいます。

これらの動きを一つの側面からのみ捉え、大げさに騒いで非難する団体もいますが、多面的に捉え問題提起している Aljazeeraの記事「World Cup 2014: On myths and reality of sex trafficking」が参考になりました。

また、今回はブラジルという、市民の不満が様々な形で爆発しつつある国(過去エントリ-: 「フリードマンの記事から学ぶ最近の市民デモ」)で開催されているW杯であるという事、前回主催国南アフリカの状況を踏まえたメッセージがいくつか出ているということ( Quartzの記事「South Africa:s World Cup advice to Brazil」の4. Afterward, you:ll start seeing white elephant everywhere、 CNNの記事「South Africa:s World Cup warning to Brazil」)、最近ケープタウンへの出張から帰って来た同僚の「格差問題や貧困問題などほとんど進展がないように見えた」というコメントを聞いたばかりであるということ・・色々な「影」の可能性について考えさせられます。

日本に居た時はこのような「影」の情報を得る機会がなかったな、と思います。世界で普通に話題になっていることが自分の「普通」に存在していなかったという現実。自分の生活している場所によって触れる情報がどうしても偏ってしまう可能性があるという事実、そいういうことをふと思います。(関連エントリ-: 他の国を知ろうとする姿勢、学ぶ姿勢 )

W杯スポンサー達

W杯を観戦しながら感じること、最後にもう一つ。それはスポンサー企業こと。スーパーボウルの広告枠獲得に各事業会社が凄まじい競争を繰り広げているのはアメリカ内では周知の事実ですが、W杯を観戦しながら、この一大イベントをとりまく世界の事業会社の駆け引きについて、ふと考えました。

今日ABC局の番組で観戦してた「コロンビア/ギリシャ戦」「ウルグアイ/コスタリカ戦」では韓国のHYUNDAIのブランドの存在感が一段と目立ってました。UNESCOのMobile Learning Weekのイベントにいった時のSK Telecomの存在感が印象的だったことを思い出します(過去エントリ-:「 UNESCO MLW2014で感じた「日本」or the lack of it 」)。調べてみると、Hyundaiのみならず、Partnerという協賛企業は他にもいくつかあるようです。

観戦しながら目にしていたスタジウムの周囲にあるフリップ型の企業広告枠。自分の知らない企業も結構あります。

FIFA Partners:Adidas、コカコーラ、Hyndai(韓国)、KIA Motors(韓国)、 Emirates(UAE、航空)、ソニー、VISA

FIFA Confederation Cup Sponsors:Budweiser、 Castrol (英国、今はBPグループの一部)Magnatec、 Continental(英国、タイヤ)、Johnson&Johnson、McDonald、 Oi(ブラジル、通信)、SEARA(は Marfrig(ブラジル、食品)のグループ会社)、 YINGLI(中国、エネルギー)

National Supporters:ApexBrasil, Centauro(ブラジル、小売), Garoto(ブラジル、食品), Itau(ブラジル、銀行), Liberty Seguros(保険)、 Wise Up(英語教育)、


日本企業はソニーだけのようですね。

難しいことは以上!!今からESPN局でイタリアー英国戦。3時間後の日本戦はブルックリンで友人と。

楽しみです!