Tomoko Matsukawa 松川倫子

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自分より大きなもの

・・を他者とつくりあげるという経験

現在朝の6時半。

昨夜のNY+Acumen(「ニューヨークプラスアキュメン」・・世界各地に26存在するチャプターと呼ばれるボランティアグループの一つ)のイベントが終わって帰宅後、いつの間にか寝てしまっていたみたい。

昨夜はAcumenの創業者のジャクリーンに加え、Acumenの投資先企業での10ヶ月を終えニューヨークに戻って来ていたグローバルフェローのうち二人を招いての対話セッション。テーマは「Investing in Impact Driven Leadership」おそらく200人ほどの参加者。NY内のFordham Universityの講堂を借りて。動員人数もそうだけれど、実現の為に巻き込んだ人の多さからしてもNY+Acumenが今まで実施したイベントの中でも最大級のイベント。

ジャクリーンの日程が押さえられてからの過去3週間。NY+Acumenのチームは本当に頑張っていた。場所が決まったのはイベントの二週間前。同時進行にイベントの内容設計やボランティアの採用も行い、パンフをデザインしたり、イベントの宣伝活動を行って。もちろん皆フルタイムの仕事がある人ばかり。イメージ、そんな人達が、短期間で文化祭の出し物を一つ企画するようなものだったと思う。

私も普段の業務に加えてNY+Acumenの準備のサポートをしていた。会場の下見に一緒にいったり、戻ったばかりで組織内の色々なチームから引っ張りだことなったフェローの中で手を挙げてくれた二人とは週末に会って練習したり、直前までパンフの文言を最終確認したり。

そんな感じで自分も相当バタバタしてたけれど、きっとNY+Acumenのメンバーは私がCCされていたメールのやりとりの10倍くらいの細かいやりとりを続けていたに違いないと思う。そんな背景を知っているから、無事にイベントが終わり、ジャクリーンも嬉しそうだったので一安心。

そして、なにより、個人的にはこの大きなプロジェクトを皆でやり切ったというNY+Acumenのチーム(今回深く関わっていたのは15人ほど)の表情を間近で見れたことが最大の喜びとなった夜だった。

+Acumenチャプターにコミットしてくれているボランティアメンバーがその活動を通じて得られるものを最大化するにはどうしたらいいかというのは常に自分が気にしている事。今回のように、皆で恊働して、工夫を凝らし、大きな達成感を得たという経験、チャプター活動を「卒業」した後でも振り返って熱い想いを思い出せるような経験。そういう瞬間を一つでも多く、より多くの人に感じてもらいたいな、と思う。

大人になってから学生時代の文化祭みたいな経験って少なくなる。「効率主義」に占領されている社会人経験を積めば積むほど、「一歩引いて物事を冷静に、時にはシニカルに分析する」モードで過ごす日々が増えてくる。でも、今まで一回もやったことなくて、どういうものが出来あがるか分からなくて、とりあえず関係者同士信頼し合い、最善をつくし、無限にあると思われるやる事リストを全員で短くしていきながら創り上げて行く体験の楽しさは誰もが一回は経験しているはずで。それは「仲間」と「オープンな心」さえあれば、何歳になっても本来は積めるはず。

そしてそういう経験から得られる感覚/学びは自分一人では得ることができない。こういう体験を積む度に、自分一人で出来る事なんて本当にちっぽけだな、と思ったりもする。

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・・にコミットするという選択

昨夜のジャクリーンの話を聞きながら、以前ブログに書いた「 Thriveという英単語 」というエントリ-に引用したジャクリーンのコメントを思い出した。
Maybe this is it: maybe the measure of Thrive is how brightly we let our sparkle shine.

People often ask me how to find purpose and meaning in their lives. The truth is there are no clear directions. The answer lies instead in choosing to commit to something bigger than yourself and letting the work teach you. Purpose evolves. It can appear as a sort of ephemeral map grounded in a moral compass, quietly helping to navigate waters of failures and success. It spreads in ripples that appear as other partners willing to help along the way.
自分より大きいなものにコミットするという話。彼女が良く使うフレーズ。それを改めて考えさせられた夜だった。

Doing what is not easy but what is right。はAcumenのマニフェストにあるフレーズの一つ。
耳当たりのいい言葉だけど、本当は結構重い。

このフレーズ通りの行動をとるために必要なことは、実は「正しいことをする勇気」(例えば物事を前に進めるために賄賂を払わない)ではなく、「自分のエゴを乗り越える勇気」だったりする。賄賂を払わないという選択の結果、自分の努力の成果を出すのに時間がかかるという現実。それを他者に見られてしまうジレンマ。そのような選択の局面に直面する自分の中に存在するエゴ。それを乗り越えることができるか。
「Where is your strengths meeting the needs of the world? ・・・・and finding joy in it .
自分の強みが活かせる場所はどこなのか?世界で起きている様々なことに自分は今いる場所、これからいこうとする場所でどうつながることができるか?どのような決断をするにせよ、道の分岐点に立ったとき、人は内なるエゴとの葛藤の瞬間がある。私達は日々選択の瞬間を積み重ねている。


そういう迷いを自分が将来感じたときに自分に伝えたいと思った昨夜のフレーズ達。
「We need to be patient and urgent .
「It takes courage to be imperfect. It takes courage to say 'I don't know the answer'」
正直、今でも自分はたまに、過去四年証券会社に残っていたら・・とか、バイリンガルが優遇される日本社会で就職していたら、と考える瞬間があったりする。マンハッタンにいて、貯金はたまらないし、家族は遠いし。でも、次の瞬間に改めて考える。自分は何の為に今アメリカに残ったのか?何の為に今ここで働いているのか。今じゃないとできないことってなんだったけ、と。


人には人それぞれの「Comfort zoneからの飛び出し方」があるように、コミットしたいと思う「自分より大きなもの」の定義も違う。その人達が活用できる「強み」も違う。他人がどうこういうものでもない、人はそれぞれ自分の答えを知っている。別に世界の貧困問題にコミットしなくたっていい、地球規模の問題でなくてもいい。Righteousness(正義)を独善的に振りかざすのとは違う。でも自分にたまに問いかける必要があるのだと思う。

「Am I  doing the right thing? Am I moving out of my comfort zone ?

最近改めて見る機会のあったジャクリーンのTEDトーク「Inspiring a Life of Immersion」 (18分 )でも彼女は言っている。



We need leaders. We ourselves need to lead from a place that has the audacity to believe we can, ourselves, extend the fundamental assumption that all men are created equal to every man, woman and child on this planet. And we need to have the humility to recognize that we cannot do it alone. Robert Kennedy once said that "few of us have the greatness to bend history itself, but each of us can work to change a small portion of events." And it is in the total of all those acts that the history of this generation will be written. Our lives are so short, and our time on this planet is so precious, and all we have is each other. So may each of you live lives of immersion. They won't necessarily be easy lives, but in the end, it is all that will sustain us.
Our lives are so short, and our time on this planet is so precious, and all we have is each other. (The lives of immersion) won't necessarily be easy lives, but in the end, it is all that will sustain us。

人生において、私達が周囲に見える形で輝く瞬間は短いかもしれない。それ以上に、周囲には見えないところに存在する、地味で、面倒な作業に自分のほとんどのエネルギーや時間は吸収されていくのかもしれない。昨夜の2時間半のために数週間走り続けたNY+Acumenのメンバーと同じように。でも、if you know that you are working to change a small portion of events in history.... THAT is living a life of immersion。THAT is living a life being an impact driven leader。そんなことを改めて考えた夜だった。


他者にインスピレーションを、希望を、勇気を届けるリーダーとは本当に凄い存在だ、と改めて。


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