PISAという国際学力テスト
今週のThe Economistの特集記事はアメリカという国の国際競争力について
でした。それを読み進めていた中で、以下のようなフレーズがありました。
「In the OECD’s most recent PISA rankings, which compare educational attainment
in 65 countries, they came 17th in reading, 23rd in science and 31st in maths,
behind places like Macau and Slovakia.」(The Economist March 16th, 2013)
教育をアメリカで学んでいると頻繁にこの国の学生の学力低下、
特にScienceやMathなどのいわゆるSTEMと呼ばれているスキルの低下への
危機意識や対応策についての話を聞く事があります。
過去教育への金銭的支出を増加させても結果につながっていない的な
グラフもたまに見ることがありますが、そのときの結果を測る指標の一つとして
良く使われるのが PISAという国際基準のテスト結果です。
このPISAが本来子ども達が学ぶべきものをしっかり測れているのか、という
議論は別に重要だとしても、経年でPISAスコアがどう推移してきているか、
他国に比べてどういう結果を出しているか、というのは参考になると思います。
※と思ったのですが、参加国/地域が毎年同じではないようなので経年推移を
解釈するときには注意が必要そうです。
あまり実はPISAについて理解していなかったなぁと思い、
この機会に整理してみることにしました。
PISAとは・・・
・Programme for International Student Assessmentの略
日本語では「生徒の学習到達度調査」と訳されているようです
・1997年にOECDがコンセプトを導入、実施は2000年から
・評価の対象は15歳の子ども達
・3年毎に測定されるデータ
・評価されるスキルはreading、mathematics、science
>2000年はReadingにフォーカス
>2003年はMathematicsとProblem Solving
>2006年はScience
>2009年はReading
>2012年はMathematics(集計中)
※オプショナルで30カ国を対象にしたComputer-based assessmentがMath/Reading
に対して実施された上にFinancial Literacyが19カ国で実施された
・2013年3月時点で70の国や地域が参加している
・テストの実施に合わせランダムに選ばれた評価対象の子ども達を
取り巻く背景に関する調査も実施しており、それを踏まえた上で
結果を分析する
・またテストの目的としては「義務教育の後にどれだけ子ども達が
学んだ内容がreal-life situationへ応用できる知識を得ているか、
社会参加する準備が出来ているか」を測ることにある
PISAの結果は英語Wikipediaにまとめられています
個人的に気になったものをまとめました
2009年時点です
Math
1: 中国、上海
2: シンガポール
3: 中国、香港
4: 韓国
5: 台湾
6: フィンランド
・・・・・
9: 日本(2003年は4位でした、点数を見ていると日本が大幅に下がったというより
日本以上の国が多数ランクインした結果の順位という印象です)
Sciences
1: 中国、上海
2: フィンランド
3: 中国、香港
4: シンガポール
5: 日本
6: 韓国
Reading
1: 中国、上海
2: 韓国
3: フィンランド
4: 中国、香港
5: シンガポール
6: カナダ
7: ニュージーランド
8: 日本
アジア各国すごいですね。
でもこの結果から改めてこの3つの評価軸で「学力」を測定することの限界
も考えさせられます。
実際中国から来ている留学生仲間との話からは
・中国では沿岸部と内陸部で受けることのできる教育の格差が問題になっていること
・幼少期から大学合格に向けた過酷な競争、詰め込み教育の徹底で
クリエイティビティやsocial emotional skillなどの教育機会の不足が問題に
なっていること
などを聞いています。
アメリカが世界大国として現在のランキングに我慢がならない、だから
頑張らないとという気持ちも良く分かりますが、この指標で上位に
ランクインしている日本にはクリエイティビティやイノベーションという
社会全体としての育成課題も存在しています。
PISAはあくまでも参考指標。
各国が各国の抱える課題に向かって課題設定→課題解決のための政策づくり、を
していく必要があるのだと思います。
そういう意味でもやはり シンガポールは先へ先へを意識しながら
柔軟に対応している方ではないかな、と感じてしまいます。
でした。それを読み進めていた中で、以下のようなフレーズがありました。
「In the OECD’s most recent PISA rankings, which compare educational attainment
in 65 countries, they came 17th in reading, 23rd in science and 31st in maths,
behind places like Macau and Slovakia.」(The Economist March 16th, 2013)
教育をアメリカで学んでいると頻繁にこの国の学生の学力低下、
特にScienceやMathなどのいわゆるSTEMと呼ばれているスキルの低下への
危機意識や対応策についての話を聞く事があります。
過去教育への金銭的支出を増加させても結果につながっていない的な
グラフもたまに見ることがありますが、そのときの結果を測る指標の一つとして
良く使われるのが PISAという国際基準のテスト結果です。
このPISAが本来子ども達が学ぶべきものをしっかり測れているのか、という
議論は別に重要だとしても、経年でPISAスコアがどう推移してきているか、
他国に比べてどういう結果を出しているか、というのは参考になると思います。
※と思ったのですが、参加国/地域が毎年同じではないようなので経年推移を
解釈するときには注意が必要そうです。
あまり実はPISAについて理解していなかったなぁと思い、
この機会に整理してみることにしました。
PISAとは・・・
・Programme for International Student Assessmentの略
日本語では「生徒の学習到達度調査」と訳されているようです
・1997年にOECDがコンセプトを導入、実施は2000年から
・評価の対象は15歳の子ども達
・3年毎に測定されるデータ
・評価されるスキルはreading、mathematics、science
>2000年はReadingにフォーカス
>2003年はMathematicsとProblem Solving
>2006年はScience
>2009年はReading
>2012年はMathematics(集計中)
※オプショナルで30カ国を対象にしたComputer-based assessmentがMath/Reading
に対して実施された上にFinancial Literacyが19カ国で実施された
・2013年3月時点で70の国や地域が参加している
・テストの実施に合わせランダムに選ばれた評価対象の子ども達を
取り巻く背景に関する調査も実施しており、それを踏まえた上で
結果を分析する
・またテストの目的としては「義務教育の後にどれだけ子ども達が
学んだ内容がreal-life situationへ応用できる知識を得ているか、
社会参加する準備が出来ているか」を測ることにある
PISAの結果は英語Wikipediaにまとめられています
個人的に気になったものをまとめました
2009年時点です
Math
1: 中国、上海
2: シンガポール
3: 中国、香港
4: 韓国
5: 台湾
6: フィンランド
・・・・・
9: 日本(2003年は4位でした、点数を見ていると日本が大幅に下がったというより
日本以上の国が多数ランクインした結果の順位という印象です)
Sciences
1: 中国、上海
2: フィンランド
3: 中国、香港
4: シンガポール
5: 日本
6: 韓国
Reading
1: 中国、上海
2: 韓国
3: フィンランド
4: 中国、香港
5: シンガポール
6: カナダ
7: ニュージーランド
8: 日本
アジア各国すごいですね。
でもこの結果から改めてこの3つの評価軸で「学力」を測定することの限界
も考えさせられます。
実際中国から来ている留学生仲間との話からは
・中国では沿岸部と内陸部で受けることのできる教育の格差が問題になっていること
・幼少期から大学合格に向けた過酷な競争、詰め込み教育の徹底で
クリエイティビティやsocial emotional skillなどの教育機会の不足が問題に
なっていること
などを聞いています。
アメリカが世界大国として現在のランキングに我慢がならない、だから
頑張らないとという気持ちも良く分かりますが、この指標で上位に
ランクインしている日本にはクリエイティビティやイノベーションという
社会全体としての育成課題も存在しています。
PISAはあくまでも参考指標。
各国が各国の抱える課題に向かって課題設定→課題解決のための政策づくり、を
していく必要があるのだと思います。
そういう意味でもやはり シンガポールは先へ先へを意識しながら
柔軟に対応している方ではないかな、と感じてしまいます。