Tomoko Matsukawa 松川倫子

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久しぶりにMOOC関連の投稿

自分がMOOC(といっても、ハイブリッド型なのでちょっと非定型モノですが)を作る側の人間になってから、以前に比べてMOOCに関する記事を読まなくなりました。

おそらく、一年ほど散々MOOCに関する色々インプットを得て、 「2013年はMOOCにとって面白い年でした」を書いてからは、「MOOC」とひとくくりにすることの無意味さみたいのを感じるようになったからだと思います。

過去1年の間の変化(自分の理解/考え方)

思えば、一番最初にMOOCのことをブログに書いたのは 2012年の10月。このときに初めてMOOCという単語を聞いたのだと思います。このときは高等教育の学費の高騰というテーマについて書き、その一方で最後に紹介しているのがxMOOCじゃなくてcMOOCのSiemens氏の引用であったりと当時の自分の知識のちぐはぐさが若干微笑ましい内容のエントリ-。

その後だんだんと「MOOC」ワールドの全体像を見るようになり、昨年9月に書いた「 cMOOCとxMOOC」のエントリ-を書く上で重要だった「 Piaget教授の構成主義とPapert教授の構築主義 (2013年2月)」に対する理解であったり、xMOOCの代表となるCourseraを含むスピーカーが登場したカンファレンス参加であったり( 前半後半)・・・大学院卒業後には「 MOOC関連のニュースを追う前に」(2013年7月)も書きました。

MOOCはあくまでも手段

今は「MOOCを実施すること」が目的ではなくて、ビジョンを実現するための手段と考えているので、あまりばっくりとまとめた「MOOC」がどうだ、ということに興味がなくなったのかもしれません。

高等教育機関に既に存在するコース(with教授)の無料公開ツールとしてのMOOCも実はあまり自分の個人的な興味範囲でなかったりもします。

むしろそれより一風変わった面白い「MOOCの使い方」に出会うとワクワクします「あ〜、そうやってあなたはMOOCを使っているのねー」みたいに。例えば The Museum of Modern Art(MOMA)がCourseraのプラットフォームを使ってコースを提供していたり、大学と提携した Learning by Giving FoundationがMOOCを通じてどのように寄付を有意義に実施することができるかを学ぶコースを提供していたり(EdXプラットフォーム使用)。Acumenも 「Let:s Change the World through Leadership: Nonprofit Acumen Shares Training Curriculum through MOOCs」で何故NPOである自分達がMOOCを提供するか説明しています。

実用性のある(M) OOCに興味があります

日本で最近提供されていた 東京大学のi.schoolによる「人間中心イノベーション概論」のコース(by schoo)もシリーズで何回か提供されていた授業の一つだけ参加しましたが、面白かったです。

こちらはライブで実施されるコースなので上記事例に出てくるようなMOOCとは違うタイプですが(参加者全員が同じ言語で参加できることが前提条件にあり、かつ比較的安定したネット環境であることが必要、かつリアルタイムで意見を出せたり見えたりすることに意義があるので、おそらく数千人規模はロジ的に難しくなると思います)個人的に重要だと考えているActive learningの仕組みやTransferを意識したOpen-endedな設計、また学習者のEngagementを継続的に1時間引っ張る事のできるような工夫がされていて、上手く出来ているなー、と感じました。こういうpracticalで、かつある程度scalableなオープンオンラインコースには引き続き注目していこうと思っています。

研究対象としての「MOOC」

とはいえ、xMOOCさん達は研究機関としてリソースが豊かだと思うので、彼らが発行していくレポートには時間を見つけて目を通そうと思っています。

例えば有名なのは年初にEdXが出した こちら。Completion Rateの議論が如何に間違っているか、という主張が印象的です。今後Working papersは ここに更新されると思われます。もう一つはコロンビア大学が今月発表した超長文の 「MOOCs: Expectations and Reality」MOOCの父と自分が理解している彼がthe most informed analysis of MOOCs that I have read to date」といっていたので、今度勉強会の仲間と読み込んでみたいと思います。