ボランティアリーダー達と自分:10のヒント
今の仕事は7割強コース関連(コンテンツ開発、コンテンツ執筆、マーケ、実施、評価)2割弱くらいがグローバルチャプターの活動サポート。その後者において、組織運営の在り方やメンバーのモチベ-ションを維持する仕組みづくりのことをよく考えます。
以前のエントリ-で書いたように、Acumenのチャプター運営者達は皆ボランティア。フルタイムで忙しい仕事を抱えながら、色々クリエイティブに地域のコミュニティを巻き込むイベントを企画し、実行してくれています。
世界各地の23の都市に存在するチャプターには大体2人くらいのChairと呼ばれるキーパーソンがいて、その人達のもとで少ないところは3人くらいから多い所は45人ほどのチャプター委員会によって構成されています。
もちろん、企業を経営したことのない人が大半である20代半ばから30代半ばの年齢層にいるチャプターChair達にとって楽な仕事ではありません。Chairとして残る人の多くはそのチャレンジを受けて立つ意欲やスキルがある人が多く、彼らは試行錯誤を続けます。年一回ニューヨークで集まるチャプターリーダーリトリートでは、グロービス時代に見ていた「日本企業における部長研修」さながらの「うちの組織ではこういう組織の課題があってだね・・」とか「こういう施策を導入したら上手くモメンタムが高まった」「ふむふむ、そちらのチャプターではそういうことを試しているのだね、実に興味深い」的な会話が繰り広げられています。
で、私はそのようなChair達本人達のモメンタムやモチベ-ションへ意識を向け、物理的/言語的/文化的にばらばらであるもの同士をいかにコミュニティ化するかということを考えています。自分のボスが前にそのポジションにいたのですが、キャラクターも違う私と彼女。私は私のスタイルでやってみようと、任されてからの過去1ヶ月ほど楽しく自由に色々試しています。
金銭的な報酬はもちろん、物理的にチャプターのいる都市に飛んで行ってサポートすることすらこちらからはできないので、できるのはメールとコール/スカイプでのフォローくらい。でもそのやりかたには色々な工夫の余地があるのかも、と最近フィードバックを少しづつ受けながら感じています。
①彼ら(ボランティアを申し出てくれる社会人)を受け入れる体制を整えておこう:参加してもらうからには、相手に期待していることを具体的に伝えられる状態になっていないといけない。ボランティアの方々にいただくのは貴重な彼らの時間。他のことに費やそうと思えば容易にスイッチができる「時間」という資本。受け入れ準備にモタモタしている時間が長ければ長いほど、彼らはこちら側に留まる理由は少なくなって行く。優秀な人であればあるほど去って行くまでの時間が短いと感じる。
②歓迎モードを素直に表現しよう:どんなコミュニティであっても、最初はNew comerはだれでも緊張するもの。いかに、その相手の気持ちを想像しながら入り口の暖かさを演出するか。
③ボランティアが学びを得ることのできる体験の場を用意しておこう:「研修」とか「トレーニング」という形でなくても、期待されている役割を果たすために必要なリソースや背景情報はきちんと与えなくてはいけない。長くいる自分達にとって当たり前となりつつあることでも、新しい参加者にそれは当てはまらない。この記事にある「Volunteers don't want to be lectured to」というのも重要なポイント。学びは教育と似ているようで違う。
④知的刺激に満ちた活躍の場を提供しよう:一つ前の「一方的に伝える」はNGと似た話。ボランティアを必要とするような組織が求めるような優秀なボランティアは他の場所でも価値発揮が十分出来る人達。そういう他の場所ではなく、ここを選んでもらうためにはどうしたらいいか。彼らの可能性やスキルを最大限レバレッジできるような場を提供することが大事。レバレッジついでに自己成長感が得られたり、コチラ側の期待値を上回ってくれるようなアウトプットを生み出すことによる自己効力感が得られたり。もちろんそういう場がどういうものかを考えるには相手の好きなこと、得意なこと、希望していること、実際に投資できる時間がどのくらいか、などを把握していることが不可欠。
⑤投資時間のイメージを事前に伝えよう:人は自分がコントロールできない要素が増えるとストレスを感じる。想定していなかった形で自分の時間が奪われることが頻出するプロジェクトには関わりたくなくなる。終わりの見えないポジションに長年就き続けることはボランティアではモチベ-ションを維持することが難しい。コミットメントがどのくらいになるかは求められている投資時間がどのくらいかのコミュニケーションなしでは把握しずらい。
⑥感謝の気持ちを伝えよう:金銭的報酬がないこのようなボランティア達は内的要因で自らをドライブしている人が多い。でも、外部からの承認もやっぱり嬉しい。特に自分の力を最大限駆使しながら成し遂げたことに対しては。見てたよ、というだけでも結構インパクトがある。そういう心理的な要素を意識しながら、タイミングを見計らってappreciationをしっかり伝えることが大事。
⑦高密度なコミュニケーションを心がけよう:相耳を傾ける事、気軽につながれる関係であると相手に思ってもらえることが大切。
⑧彼らの貢献を見える化しよう:彼らの活動のインパクトをどうこちらが捉えているかをフィードバック。彼らの活動が組織全体のミッション達成に向けてどう関わっているかを改めて説明する。そういうインプットが③や④を増やすきっかけになると思うから。
⑨仲間とつながる機会を提供:ボランティア全体を見ているサポート側の人間だからできること。どこにどういう人がいて、何をしてきていて、今どういうことを考えているか。ざっくりそういうことを意識しながら各Chair達/チャプターとつながることで「点と点の結ぶ部分」が見えてくる。最近のキーワードEngineered serendipityをどう意識しながら生み出すか。
⑩新しいことを届け続けよう:新しい考え方、新しい活動の在り方のヒント。そういうのを求め続けるchairやリーダー達。例えばチャプターだったら、しばらく前ではインパクトインベストメントという業界の話、社会起業家というテーマの在り方だけで十分だった。最近ではBeyond the Pioneerであったような起業家や彼らのベンチャ-の外に存在するindustry facilitatorの話、リーダーのキャパシティビルディングというユニバーサルなテーマへのつながり、事業会社とのソーシャルイノベーションにおけるコラボ、政府の巻き込みや途上国ならず先進国の相対的貧困の話など。
上記①〜⑩において自分がもっと出来る事はどこで、どうやるべきか、もっとこれから考えていこうと思います。
世界各地にちらばっている、様々な形をとった、+Acumenチャプターと日々接する中で、人間のモチベ-ションの源泉という根っこの部分には世界共通のものがあるな、という気がしてきています。ボランティアマネージメント(むしろイメージとしては「ボランティア仕組みデザイン」)は奥が深いですね。
関連エントリ-
インパクト投資を取り巻く対話
違うセクターで働きながらも出来る事
「ソーシャル・ビジネス、NPO」で働くということ
以前のエントリ-で書いたように、Acumenのチャプター運営者達は皆ボランティア。フルタイムで忙しい仕事を抱えながら、色々クリエイティブに地域のコミュニティを巻き込むイベントを企画し、実行してくれています。
世界各地の23の都市に存在するチャプターには大体2人くらいのChairと呼ばれるキーパーソンがいて、その人達のもとで少ないところは3人くらいから多い所は45人ほどのチャプター委員会によって構成されています。
最近の自分とボランティアリーダー達との関わり
私が直接コミュニケーションするのは主にChairと呼ばれる人達。彼らはボランティアでありながら、チャプターという全員がボランティアで成り立つ小さな組織の「COO」的な立場にあります。トップダウンでチャプター内で意思決定がされるわけではありませんが、組織全体の方向性を議論する場をつくることに意識を向けたり、皆で一体感を持って活動がスムーズにいくかどうかに気を配ったり、必要なリソースはどういうもので、どこからそれを持って来たらいいかなども意識したり、中長期的に次のバトンを渡す相手のChair候補の採用や育成にも意識を向けながら彼らは日々を過ごさなくてはいけません。もちろん、企業を経営したことのない人が大半である20代半ばから30代半ばの年齢層にいるチャプターChair達にとって楽な仕事ではありません。Chairとして残る人の多くはそのチャレンジを受けて立つ意欲やスキルがある人が多く、彼らは試行錯誤を続けます。年一回ニューヨークで集まるチャプターリーダーリトリートでは、グロービス時代に見ていた「日本企業における部長研修」さながらの「うちの組織ではこういう組織の課題があってだね・・」とか「こういう施策を導入したら上手くモメンタムが高まった」「ふむふむ、そちらのチャプターではそういうことを試しているのだね、実に興味深い」的な会話が繰り広げられています。
で、私はそのようなChair達本人達のモメンタムやモチベ-ションへ意識を向け、物理的/言語的/文化的にばらばらであるもの同士をいかにコミュニティ化するかということを考えています。自分のボスが前にそのポジションにいたのですが、キャラクターも違う私と彼女。私は私のスタイルでやってみようと、任されてからの過去1ヶ月ほど楽しく自由に色々試しています。
金銭的な報酬はもちろん、物理的にチャプターのいる都市に飛んで行ってサポートすることすらこちらからはできないので、できるのはメールとコール/スカイプでのフォローくらい。でもそのやりかたには色々な工夫の余地があるのかも、と最近フィードバックを少しづつ受けながら感じています。
彼らとwin winになるには、意識しておきたいヒント10個
そんな時にこんな記事を発見「What Do Your Volunteers Want? 10 Ways to Make Them Happy」。その内容が自分の感じていることと近かったので、備忘メモ。以下は自分がチャプター運営でこのルールを当てはめるなら、という想定を踏まえて書いています。①彼ら(ボランティアを申し出てくれる社会人)を受け入れる体制を整えておこう:参加してもらうからには、相手に期待していることを具体的に伝えられる状態になっていないといけない。ボランティアの方々にいただくのは貴重な彼らの時間。他のことに費やそうと思えば容易にスイッチができる「時間」という資本。受け入れ準備にモタモタしている時間が長ければ長いほど、彼らはこちら側に留まる理由は少なくなって行く。優秀な人であればあるほど去って行くまでの時間が短いと感じる。
②歓迎モードを素直に表現しよう:どんなコミュニティであっても、最初はNew comerはだれでも緊張するもの。いかに、その相手の気持ちを想像しながら入り口の暖かさを演出するか。
③ボランティアが学びを得ることのできる体験の場を用意しておこう:「研修」とか「トレーニング」という形でなくても、期待されている役割を果たすために必要なリソースや背景情報はきちんと与えなくてはいけない。長くいる自分達にとって当たり前となりつつあることでも、新しい参加者にそれは当てはまらない。この記事にある「Volunteers don't want to be lectured to」というのも重要なポイント。学びは教育と似ているようで違う。
④知的刺激に満ちた活躍の場を提供しよう:一つ前の「一方的に伝える」はNGと似た話。ボランティアを必要とするような組織が求めるような優秀なボランティアは他の場所でも価値発揮が十分出来る人達。そういう他の場所ではなく、ここを選んでもらうためにはどうしたらいいか。彼らの可能性やスキルを最大限レバレッジできるような場を提供することが大事。レバレッジついでに自己成長感が得られたり、コチラ側の期待値を上回ってくれるようなアウトプットを生み出すことによる自己効力感が得られたり。もちろんそういう場がどういうものかを考えるには相手の好きなこと、得意なこと、希望していること、実際に投資できる時間がどのくらいか、などを把握していることが不可欠。
⑤投資時間のイメージを事前に伝えよう:人は自分がコントロールできない要素が増えるとストレスを感じる。想定していなかった形で自分の時間が奪われることが頻出するプロジェクトには関わりたくなくなる。終わりの見えないポジションに長年就き続けることはボランティアではモチベ-ションを維持することが難しい。コミットメントがどのくらいになるかは求められている投資時間がどのくらいかのコミュニケーションなしでは把握しずらい。
⑥感謝の気持ちを伝えよう:金銭的報酬がないこのようなボランティア達は内的要因で自らをドライブしている人が多い。でも、外部からの承認もやっぱり嬉しい。特に自分の力を最大限駆使しながら成し遂げたことに対しては。見てたよ、というだけでも結構インパクトがある。そういう心理的な要素を意識しながら、タイミングを見計らってappreciationをしっかり伝えることが大事。
⑦高密度なコミュニケーションを心がけよう:相耳を傾ける事、気軽につながれる関係であると相手に思ってもらえることが大切。
⑧彼らの貢献を見える化しよう:彼らの活動のインパクトをどうこちらが捉えているかをフィードバック。彼らの活動が組織全体のミッション達成に向けてどう関わっているかを改めて説明する。そういうインプットが③や④を増やすきっかけになると思うから。
⑨仲間とつながる機会を提供:ボランティア全体を見ているサポート側の人間だからできること。どこにどういう人がいて、何をしてきていて、今どういうことを考えているか。ざっくりそういうことを意識しながら各Chair達/チャプターとつながることで「点と点の結ぶ部分」が見えてくる。最近のキーワードEngineered serendipityをどう意識しながら生み出すか。
⑩新しいことを届け続けよう:新しい考え方、新しい活動の在り方のヒント。そういうのを求め続けるchairやリーダー達。例えばチャプターだったら、しばらく前ではインパクトインベストメントという業界の話、社会起業家というテーマの在り方だけで十分だった。最近ではBeyond the Pioneerであったような起業家や彼らのベンチャ-の外に存在するindustry facilitatorの話、リーダーのキャパシティビルディングというユニバーサルなテーマへのつながり、事業会社とのソーシャルイノベーションにおけるコラボ、政府の巻き込みや途上国ならず先進国の相対的貧困の話など。
上記①〜⑩において自分がもっと出来る事はどこで、どうやるべきか、もっとこれから考えていこうと思います。
世界各地にちらばっている、様々な形をとった、+Acumenチャプターと日々接する中で、人間のモチベ-ションの源泉という根っこの部分には世界共通のものがあるな、という気がしてきています。ボランティアマネージメント(むしろイメージとしては「ボランティア仕組みデザイン」)は奥が深いですね。
関連エントリ-
インパクト投資を取り巻く対話
違うセクターで働きながらも出来る事
「ソーシャル・ビジネス、NPO」で働くということ