Tomoko Matsukawa 松川倫子

View Original

アメリカの皮膚科・アレルギー科でパッチテストを体験して

前回の記事で書いたものの続き。先月開始した以下の三つのこと。
  1. 皮膚科でのパッチテスト(80種のアレルギー源を背中に貼り、数日後に確認することで、今後避けるべきアレルギー源が判明する)
  2. アレルギー科での血液検査(42種のアレルギー源を両腕の肘上に垂らし、15分後に反応確認+詳細の食品アレルギーを確認するための血液検査)
  3. 日々の食事日記
 今回のエントリーはその一連の流れについての備忘録。
  • 1週間かかった皮膚科でのパッチテストがどんな感じだったか
  • その結果何を得たか
  • 今後皮膚科でのパッチテストを検討している人たちへ
  • 経験者(=結果が手元にある人)向けの便利サイトの紹介
という感じで書いていきます。

1: パッチテスト検査の流れ(月曜〜金曜)

まず検査の流れ。ニューヨークにある皮膚科でやりましたが、手順自体は日本でやるときと大きく変わらない気もします(情報源:Googleで「皮膚科」「パッチテスト」と検索した結果)

月曜に背中にアレルギーの原因として疑われる物質(アレルゲン)を貼り、 二日後の水曜に専門医に診てもらい、 四日後の金曜に再診。その間の火曜はお風呂シャワー・体を大きくストレッチするような運動を控える。木曜はお風呂シャワーOK。また、パッチテスト実施前の1週間はアレグラなどの抗ヒスタミン剤も摂取しないよう、とアドバイスされます。

背中に貼られたのは 此処に記載されているNAC-80 North American 80 Comprehensive Seriesのアレルゲン80種。日本でやる場合は日本皮膚アレルギー・接触皮膚炎学会で選定された25種の「ジャパニーズスタンダードアレルゲンシリーズ」になるようです(それについては NPO法人日本アトピー協会の2016年3-4月号の通信紙P2が分かりやすいです)

貼られた月曜は背中が少しチクチク、ところどころ少し痒い感じがあったものの、テープでばっちり貼られた緊張感もあってか、その程度。7月に運動できない&シャワー浴びれないのはやや辛かったもののその週はそこまで問題なし。

ところが!緊張感が薄れ始め、かつテープも外された水曜以降が大変でした。わたしの体はアレルゲン達の思うままに。「蚊に刺されたところをかくと更に痒くなる」そんな無限ループに落ちていきながら、アレルゲンが貼られた背中よりもむしろ、体の別の場所で炎症が既に起きていた箇所の症状悪化に襲われ、辛い10日前後になりました・・・・。月曜ー木曜は在宅勤務にしなくてはいけないくらい。

2: そんな苦しみを経て得たもの。

大変だった中に手元に届いたもの、それは大量の情報でした。新しい発見もあり、辛かったけれど検査してよかったなーという感想。

まずは皮膚科から送られてきた資料⑴。
  • 水曜に反応が見られたアレルゲン(強弱の二段階判定)
  • 金曜に反応が見られたアレルゲン(同上)
  • 上記に含まれていた、「避けるべきアレルゲンの一覧」とそれぞれの説明書き1ページずつ(ここから同じものがダウンロード可能)各ページにはそれぞれのアレルゲンの別名称もズラリと並んでいます
そのままだと⑴は使いづらかったのでGoogle spreadsheetにまとめました。今後新しい製品を買うときにチェックが簡単にできるように&今回得た情報が日本製品または日本に輸入されていた海外製品の日本語表記の成分の情報が確認できるように。ここら辺やや職業病。最後に載せる「便利リンク」が色々役に立ちました。

Spreadsheetでの列をひたすら更新しながら蘇ってくる高校&大学時代の化学&有機化学の記憶。ブチレン、エチレン、ホルムアルデヒド、。。。それを見ながら、自分の家にあったもの、日々自分が使うものもインターネットを駆使して使用成分を調べ上げ、キープ可能か処分対象かを整理していきました。床に積まれていく処分対象の山。

同じメーカーでも製品によって運命が分かれるのはもちろん、ペア販売されている同じブランドのシャンプーコンディショナーの間でも白黒分かれることかあるのだと学びました。これらを使っていただけで、ジワジワと自分をすり減らしていたのだと分かります。

そしてまた別の場所から皮膚科を通じて送られてきた資料⑵
18種のアレルゲンに反応を示した私が使っても大丈夫と認められた製品の一覧が以下カテゴリー別に載っていました。ほとんどは米国メーカーのもののみ。合計40ページ・・・。
  • コンタクト関係製品
  • 眼科関連製品(目薬とか)
  • ヘアケア・コンディショナー
  • 染髪料
  • ヘアケア・スタイリング剤・トリートメント
  • 空気清浄
  • 床掃除・洗剤
  • 食器洗剤
  • 窓ガラス掃除用クリーナー
  • 掃除用手袋
  • 洗濯機用洗剤・関連製品
  • シミ取り
  • ペット用シャンプー
  • 化粧品(アイライナー、マスカラ、アイシャドウ、チーク、ファンデーション、コンシーラー、パウダー、下地、リップグロス、リップライナー、口紅)
  • 化粧落とし
  • 肌荒れ・ニキビの薬
  • 痛めどめ、救急薬、痒み止め、抗生物質、抗がん剤、抗真菌性の薬、・・・薬だけでも数ページ資料が)
  • ネイル、ネイル落とし
  • リップ(保湿用)
  • 歯磨き粉
  • アンチエイジング系のクリーム、保湿クリーム、化粧水
  • 制汗剤
  • 虫除け
  • 日焼け止め
  • 石鹸、洗顔フォーム

これは永久保存版。特に薬の部分、暗記できないので、病院に行くときはデジタル版がアクセスできるようにしておかないと。

と、そんな感じで「生活から排除すべきもの」と「代わりに使ってもいいよと言われているもの」が明確になっていきました。食事日記で日々の反応を様子見ながら大丈夫そうな食べ物、やっぱりダメそうな食べ物なんかも少しづつ分かってきました(アレルギー科での検査と血液検査では主に食物と環境 [ダニとか猫の毛とか]のアレルゲンについて情報を得ることができます)。

検討している人たちへのメッセージ

私の経験を元に伝えたいと思ったのは以下の3つ。
  • 医療保険の状態の確認(安い検査ではないので)
  • アレルギー科と皮膚科の検査をするタイミング
  • 検査後1-2週間の覚悟

1点目の保険ですが、私の場合は⑴ 保険適用後に自分が払う金額、がまず発生し、⑵それを会社に補填してもらうという仕組みを活用しました。会社によって後者があるかは色々ですが、⑴だけの金額でいうと、合計で皮膚科(SOHOの良心的な先生)の検査に $165.4(三回訪問+背中に80種のせる検査)、アレルギー科(皮膚科の先生にオススメしてもらったニューヨーク大学の先生)の検査に $640(二回訪問+腕に40種のせる検査と血液検査)かかりました。⑵があったからよかったものの・・。でも皮膚科の先生にはその後塗り薬が処方されたりそれはそれでちょこちょこお金がかかりました。

あとは2点目ですが、私の場合、アレルギー科と皮膚科の検査が1週間も離れていなかったので、もう少し離してやればよかったな、とちょっと思いました(検査への影響もなくはないので)

そして、最後の点。私はアトピーの症状がすでに結構出ていた、免疫力が低い状態でダブル検査をしてしまったせいか、その後のダメージから回復するのにかなりかかりました。友人の結婚式に出る頃にはなんとか見えるところの大半の症状は回復していましたが、症状がすでにある人は、検査に背中に乗っけたものに対する反応が全身の、特に弱いところに出ると覚悟しておいてから検査を受けた方がいいと思います。

あとは私は様々なアレルギー源に広く反応する重症タイプですが、命に関わる深刻度が高いアレルギーを持つ重症タイプの方も世の中にはたくさんいらっしゃると思います。そういう方は当たり前ですが検査実施の前に絶対に専門家の方にアドバイスを受けてからやった方がいいと思います。

便利サイト

最後に、検査結果で色々NGなもの、大丈夫なものが分かってきた人たちにとって便利かも、というサイトを。



で、結局、あの後検査のダメージを完全に脱するには漢方薬の力が必要になるのですが、それはまた別の記事にします。にしても、knowledge is power。これらのことがたくさんわかっただけでも今後のお金の使い方、食事への意識の向け方などがガラリと変わりました。

大変だけれど良かったなと思っています。
同じようにアレルギー ・免疫系のトラブルで悩まれている方のご参考になれば。

関連エントリー
アトピー対策にシステム思考を応用すると
アメリカでの医療保険 - 現地で働く際の5つのアドバイス