変化への適応力と「アイデンティティの家の中に複数の部屋を持つ」こと
私がたまに聴くポッドキャストの番組に「The One You Feed」というものがある。番組のタイトルは以下の逸話をもとにしていて、毎回エピソードでは冒頭にホストがゲストに、以下の逸話を共有する。そして「あなたにとって、この逸話はどういう意味を持ちますか?」という問いかけから対話が始まる番組だ。
おばあさんが孫に語り読みをしています
「人生において、我々は皆、内面に『良い狼🐺(kindness, bravery and loveなどを体現する) 』と『悪い狼🐺 (greed, hatred and fearなどを体現する)』を飼っているの。そして、その2匹は戦っているのよ。」
それを聞いた幼い子が聞きました
「どっちの狼が勝つの?」
おばあさん:「The One You Feed(あなたが育てることにした方よ)」
今回のエントリーでは、その番組のゲストがBrad Stulbergだった時のエピソードについて。テーマとしては、人間のレジリエンスやアイデンティティに繋がる話で、ここ数年自分が考えたり、人に話すことがよくあるテーマでもある。
ちなみに、これを聴く前は、Brad Stulbergという人が誰なのかは知らなかったのだけれど、Amazonのプロフィールをみてみると、mental health, well-being, sustainable excellence, coachingというキーワードが並ぶ。最近の著書のタイトルで、このエピソードに繋がるものはMaster of Change: How to Excel When Everything Is Changing – Including Youだけれど、The Practice of Groundednessや、The Passion Paradoxなど興味深いタイトルも並ぶような人だ。ミシガン大の公共衛生学でも教鞭をとっているらしい。
さて、そんな彼がゲストだったMastering Change When Everything is Changingというタイトルのエピソードの冒頭では、ここでいうような「チェンジ・変化」とは、という話がホストから紹介される。
ホストの紹介している研究によると、我々大人は皆生涯平均36回ほど「大きな変化(それまでの秩序が乱される出来事)」を体験するという。具体的には18ヶ月に1回という数字が共有されていた。
例えば・・
Getting a job - Losing a job
Getting into a significant relationship - Ending one
Moving
Having kids - Having kids leave the house after you raise them
Starting school - Graduating from school
Distancing from a best friend - Meeting a new best friend
Getting a challenging health diagnosis or injury - Recovering from one
Falling in love - Falling out of love
それを聞いたゲストのBradは、彼のいう変化は、他にも老化といった「Gradual one」も無視できない、という。
まあ、とにかく色々と変化の波が自分に押し寄せることは避けられない、ということ。
そんな変化が常に起きる我々の人生では「rugged (頑丈さ) and flexible(柔軟性)の両方」を持ち備えることが重要だ、というBranは、「変化への対応の達人になるため」のアドバイスとして以下の二つを紹介していた。
自分の期待値との付き合いかたをうまくすること:自分がコントロールできるものは、自分が抱いている様々な期待である(期待値に執着しずきると、現実が違うときの痛みや辛さは大きい)
自分のアイデンティティの家に複数の部屋を持つこと:私たちの「アイデンティティの家🏠」には複数の部屋があるべきである。そうすれば、大きな変化(洪水や火事)があったとしても、他の部屋で安定感や安全性を確保した上で家全体が回復するのを待つことができるから。
例えば
キャリア・仕事に関するの部屋
パートナーとしてのの部屋
親としての部屋
子としての部屋
友人としての部屋
ミュージシャンとしての部屋
アスリートとしての部屋
癒しの部屋
祈りの部屋
・・・・・
一つしか部屋がないと、そこを変化の波が直撃したときに辛い。だから複数の部屋を持つことが大事だと。
複数の部屋を持ったからといって、 変化の波のインパクトが小さくなるわけではないのだけれど、比較的安定した土台があれば、衝撃を吸収することがよりできると、彼はいう。 特に彼自身も親として「親としてのアイデンティティ」が必要以上に大きくなってしまうことの注意点にも触れていた。
複数の部屋がある自分のアイデンティティの家。
初めて考えるメタファーだけれど、言っていることは自分にはしっくりくる。
私の転職活動次第では年後半に家族が一緒に住むことができるか、であったり、どの都市に住むことになってるか、が変わる状態にある現時点の自分にとってピッタリのリマインダーとなるメッセージだと感じた。
自分のこれから歩むpathの上で起きること、その先にあることに対する期待値との付き合い方はどうだろうか。自分のアイデンティティの家には今、どんな部屋があるだろうか。どれかの部屋が短期的に変化の波に呑み込まれても、一旦避難する、安定感のある他の部屋や🏠の土台を自分はもっているだろうか。
そんなことを思わされたエピソードだった。
やはりポッドキャストはいい。
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