「ビッグ・オーとの出会い」- シェル・シルヴァスタインの絵本
7月に同僚と元同僚の結婚式が行われたモントリオールに行きました。
オリジナル感溢れる演出に凝った彼ららしいカッコいい自然体の結婚式(新婦がイベントデザインの専門であったのでそこはノーサプライズですが)。その時に牧師さんの代わりを務めた彼女たちの親友が朗読した絵本を今日は紹介。シェル・シルヴァスタインという絵本作家の作品の一つの「ビッグ・オーとの出会い」というお話です。
新郎新婦が誓いを立てた場所
シェル・シルヴァスタインの絵本
まだ子供がいないので私は子供向けの絵本というジャンルにあまり詳しくありません。せいぜい記憶にあるのは自分が子供の時に読んだものくらい(「ごんぎつね」とか・・)。なのでシェル・シルヴァスタインという名を聞いても「はて・・」という感じでした。
知らない人だと思って結婚式後にwikipediaを見てみたら、どうやら「おおきな木」という話が日本は有名とのことでした。そして検索でヒットしたのが以下の動画でした。
どんな話なんだろう、とクラシック音楽に沿ったこの動画をフンフンとみていたら・・・な・ん・と、年初に行った西田幾太郎記念哲学館(石川県)のカフェで読んだ絵本ではないですか!作者の名前は頭に入っていなかったものの、しっかりと覚えていたこの話。哲学館に置いてあっただけあり、色々なことを考えさせられる、比較的深い物語になっています。
そのシェル・シルヴァスタインが書いた「ビッグ・オーとの出会い」がモントリオールでの結婚式で使われていたものです。
「ビッグ・オーとの出会い」
こちらの方も動画を共有します。最後までみると何故この話が結婚式に相応しい内容だったかがわかるかと思います。1976年に出版された素敵なお話です。
私の友人たちはこれをBrainpickingsのエントリーで知ったと言っていました。Brainpickingsは以前このブログでも紹介した素敵なサイトです。心の栄養剤となるような素敵なインプットにあふれています。この「ビッグ・オーとの出会い」が紹介されていた記事のタイトルは「The Missing Piece Meets the Big O: Shel Silverstein’s Sweet Allegory for the Simple Secret of Love and the Key to Nurturing Relationships」(2015/2/12)とありました。ちなみにAllegoryは英語で寓話という意味です。
記事には
「子供向け絵本というものは実は子供たちではなく(彼らは確かにその内容を楽しむのだけれど)私たち大人のために書かれているものなのです。絵本に書かれていることは私たち大人が心の奥底に普段隠している欲求や怖れといったものを刺激してくるため、私たちを惹きつけるのです」(意訳)
とあるのですが、まさに、「ビッグ・オー〜」にも我々にグサリと刺さる(または「わかるわかる」と頷きたくなるような)メッセージを含むもの。
絵本の本文より:
“I think you are the one I have been waiting for,” said the missing piece. “Maybe I am your missing piece.” (「あなたこそが私の待っていた人だと思う。きっと私があなたの欠けている部分を埋められる気がするわ」)
“But I am not missing a piece,” said the Big O. “There is no place you would fit.” (「いや、僕はどこも欠けていないよ。だからあなたの入る場所はないよ」)
“That is too bad,” said the missing piece. “I was hoping that perhaps I could roll with you…” (「そうなのね・・残念。あなたと一緒になって一緒に転がっていけると思ったのに」)
“You cannot roll with me,” said the Big O, “but perhaps you can roll by yourself.”(「一体となって転がることはできないよ、でも君一人で転がってみたら?」
Brainspickingsでは、この絵本で作者が伝えてくれたものを以下のようにまとめています
"...that true love doesn’t complete us, even though at first it might appear to do that, but lets us grow and helps us become more fully ourselves." - Brainpickingsの記事より
・・・・・・・子供の絵本って奥深いし、美しい。
Rumiの詩とかをデコレーションに作っちゃうあたりが彼ららしい
式場ではこの本がサイン帳がわりになっていました
おまけ:
同じ西田幾太郎記念館で私を虜にした絵本はヨシタケシンスケさんシリーズ(以下の写真は「りんごかもしれない」)あまりにも気に入ったので「りんご〜」に加え「このあとどうしちゃおう」を購入した上に、自分のTwitterのヘッダー写真もその絵本のページにしちゃっています(誰か気づくかな、というゆるい実験中)。そして英語版を購入するかも検討中。
「りんごかもしれない」著 ヨシタケシンスケ
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