2024年のDNC(民主党大会)- 印象に残った瞬間・スピーチ

二つ前のエントリーに書いたように、自分が少なからずの時間とエネルギーを注ぎながら消費した今年のDNCプログラム。

何度か見返してもいいのではないか(実際見たものもある)というコンテンツがいっぱいあったので、自分用に以下まとめてみた。

Day 1

National Anthem(国歌)by Soul Children of Chicago
< 2分

Peggy Flanagan (Lieutenant Governor of Minnesota)
3.5分

注目は2.5分過ぎたところから。弟の話で始まる部分。

もしウォールズ知事が副大統領になったら、彼女がミネソタ知事になることになり、それは同州にとって初の女性知事、かつアメリカ史上初のNative American women governorという立場になる、ということも注目されている。

Brian WallachとSandra Abrevaya夫婦
4.5分

BrianはALS患者で車椅子で登場する。二人はNPO法人”I Am ALS”の創業者。

Steve Kerr (NBA Coach)
6.5分

Goldn State Warriorsのコーチで、あり、かつオリンピックで米国チームのコーチを務めた。

“I believe leaders must display dignity. I believe that leaders must tell the truth. I believe leaders must care for and love the people they are leading. I believe leaders must possess knowledge and expertise but with the full awareness that none of us has all the answers. And in fact, some of the best answers often come from members of the team.”

Rep. Alexandria Ocasio-Cortez (New York)
7.5分

今までどちらかというと中立派を攻撃するイメージが強かったProgressiveのAOC。そもそも彼女のようなスピーカーをプログラムのprime time(東海岸の9時半)にもってきたハリス陣営の選択を(戦略の視点から)評価する声もみられた。そんな34歳の彼女のパフォーマンスは必見。彼女は民主党の中で色々意見が割れ始めた7月の前半も、最後までバイデン大統領の意志を支持するスタンスを貫いていたのも印象に残る。

Hillary Clinton
17.5分

2016年の選挙後のスピーチ以降、彼女が公の場で話すのを聞いていなかった私。彼女の登場を受けての会場の反応が色々なことを物語っていると感じたし、久々に見た彼女は、相変わらず力強かった。2016年の時のことを思い出しながら、懐かしい気持ちにさせられて、そんな彼女が今の歴史的な瞬間をどう受け止めているのだろう、ということも考えながら、心動かされ涙が出た。

“I want my grandchildren and their grandchildren to know I was here at this moment, that we were here and that we were with Kamala Harris every step of the way. This is our time America. This is when we stand up. This is when we break through. The future is here. It’s in our grasp. Let’s go win it.”

初の女性大統領として「ガラスの天井」を破れるかどうかのプレッシャーを背負っていた彼女の言葉だからこその重みが伝わってくるスピーチだった。

Senator Raphael Warnock (Georgia)
<15分
ジョージア州の初のアフリカ系アメリカ人の上院議員。牧師の両親をもつ彼は、公営住宅で生まれ育ったというストーリーを持ち、パワフルなストーリーテリングが有名だ。彼のスピーチがパワフルで、その後X上では「Warnock議員の後に話す人、大変だなー」というコメントもあったくらい。

Ashley Biden
7分
バイデン大統領の娘による愛溢れるスピーチ。フィラデルフィアとしてソーシャルワーカーとして働く彼女にとって、父がどのような存在だったかのエピソードが散りばめられている(彼女の結婚式のエピソードとか)。Courageous hearts(勇気ある誠意・思いやり)というキーワードが印象的だった。

“Dad always told me that I was no better than anybody else and nobody was better than me. He taught me that everyone deserves a fair shot and that we shouldn’t leave anyone behind. “

今回の DNCはバイデン大統領のみならずハリス候補もウォールズ候補も、子どもたちのあり方・発信したメッセージが強く印象に残る場だったと思う。Ashleyはその一人目。

Day 2

DNC Ceremonial Roll Call
1時間20分
毎回DNCでもRNCでも、全ての州をアルファベット順に読み上げて(その時の候補者を支持するかどうかの)「賛否・棄権」を確認する儀式があるのだけれど、今年のDNCは前代未聞のノリノリバージョンで、多くの人の印象に残る場となった。動画を全部見る必要はないけれど、ジョージア州は特に話題になったので、そこだけでも見てみると雰囲気が伝わるかもしれない、笑(13分過ぎた頃)。速攻SpotifyのPlaylistも誰かが作っていて、私自身その後もこのPlaylistを何度か聴いたりした。

DJ Cassidyがこの大役の経験についてインタビューされていたエピソードも面白かった。(すぐ見つけられない・・)

Doug Emhoff (Second Gentleman)
< 15分
ハリス副大統領の旦那様(元弁護士)。彼は再婚で、一人目の結婚相手とハリス氏の仲が良いことも有名。スピーチでもblended familyという単語が使われている。

ダグが登場する直前に彼の息子のCole Emhoffのナレーションによる3分ほどのビデオが流されて、それも良いのでぜひ。ダグは、ハリス氏との出会い・デートのエピソードを温かく語る。義理の子どもたちに対してどのような母親かを語る。リーダーとして、闘いに挑む強い人として魅力を語る。10周年結婚記念日が数日後というタイミングでのダグによる応援スピーチ。彼はX上でもパートナーであるハリス氏の応援に積極的であり、微笑ましい。

Michelle Obama (Former First Lady)
22分
この日の目玉は間違いなくオマバ夫妻だったのだけれど、個人的には元大統領のオバマ氏よりミッシェルを楽しみにしていた人のほうが多いのでは・・・と思っていた。あまり面の舞台に立たないことで有名な彼女。大統領夫人として「現役」だったときより、よりリラックスした、彼女らしさ溢れる雰囲気の、力強い・engagingなスピーチを披露していた。

今年の5月に亡くなった彼女の母についてのストーリーから始まり、“Do Something”(行動にうつしなさい)というメッセージを強調する彼女 。途中でハリス氏のお母さんについても触れるところとか、彼女も本当ストーリーテリングが上手。後に続いたオバマ氏が「I’m feeling ready to go — even if, even if I’m the only person stupid enough to speak after Michelle Obama…」と言ってた、笑。ストーリーテリングパワーカップルな二人。

DNCの場そのものは「ハイテンション」で盛り上がる場であることをよく知っている彼女は、油断してはいけない、闘い続けなければいけない、というメッセージ、不安を感じた途端に立ち止まってはいけない、というメッセージを強調していた。

“… no matter how good we feel tonight or tomorrow or the next day, this is going to be an uphill battle. So folks, we cannot be our own worst enemies. No. See, because the minute something goes wrong, the minute a lie takes hold, folks, we cannot start wringing our hands. We cannot get a Goldilocks complex about whether everything is just right. And we cannot indulge our anxieties about whether this country will elect someone like Kamala instead of doing everything we can to get someone like Kamala elected. “ —- ミッシェルのスピーチ全文より

Barack Obama (44th President)
35分
この日は自分の集中力が切れてしまって、オバマ元大統領のスピーチは、他の人のスピーチより流すように聞いてしまった部分もある。今回このエントリーを書くにあたって、改めて動画を見てみた。

前述のAOCやWarnockに加えて選挙活動で何度も話を聞く機会があったWalzとかPete ButtigiegとかJosh Shapiroとか、最近はスピーチの上手い政治家の話を聞く機会が近年増えている。それもあってか、以前「オバマ大統領のスピーチすごい!」と彼の現役時代に感じたような衝撃はなかったけれど、やはり安定感がある高いパフォーマンスだなぁ、という感想。今の状況下で単に「希望」の話をしても届かない人たちがいるのを承知の上で、そこを踏まえて丁寧に伝えようとしているように感じた。最後のほうに、ミッシェルのお母さん、そして自分のお祖母さんの話を持ってきていたのも印象に残った。

初日に比べてバイデン大統領への言及がめっきり少なくなった(ハリス氏によりフォーカスした)Day 2だったけれど、一緒に働いた経験があるオバマ氏がバイデン氏について言及していたのもよかったな、と。

”To make progress on the things we care about, the things that really affect people’s lives, we need to remember that we’ve all got our blind spots and contradictions and prejudices; and that if we want to win over those who aren’t yet ready to support our candidate, we need to listen to their concerns — and maybe learn something in the process.” —- オバマ元大統領のスピーチ全文

Day 3

Jon Polin and Rachel Goldberg (Parents of Hamas Hostage)
9分
ハマスに息子を人質にとられている夫婦によるスピーチ。この数週間後、残念ながら彼は亡くなった状態で発見されたのだけれど、このお母さんが強かった(亡くなった後のスピーチも気丈ですごかった・・)。

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