授業メモ: Group Learningの授業の設計
以前もコメントした「Group Learning」の授業がかなり面白い。本当に良くデザインされたカリキュラムだと思う。毎回いろんなことを考えさせるし、終始クラスへの積極的な参加・貢献を求められる仕組みになっているので刺激的。(必ずしも楽ではないことは以前書いた通り)
4回目の今日(毎週1回のクラス)、ちょうどいいタイミングで「Field Trip(課外活動)」が計画されていた。
なぜ「ちょうどいいタイミング」だったかを説明する前に、今までの全体のこのクラスの流れを整理。(将来HGSEに進学予定でこのT-402のクラスの履修を考えている人が万が一いたら読まないことをオススメします、笑)
第一回と第二会の間の小課題
第二回
第三回
第三回と第四会回の間の小課題
タスクに取り組んでいるときは必死だったけど、振り返ってみるとメンバー内でも色々なダイナミックスやメンバー構成員の特徴が浮き彫りになってくるから。自分たちのパフォーマンスをメタ認知する時間。
そのあとのクラス全体のディスカッションでは他のチームからの気づき(自分達と同じだったり全く逆だったり)も加わり、何時間でも話し続けられるほどの振り返りネタがあった気がする。
明確に役割分担をした訳でなくても自然に役割が出来ていたり、数十分の間に役割がシフトしていたり、チーム全体ででこぼこが発生したときに誰かが補強や強化に入っていったり、、オブザーバーの事後共有内容はとても示唆深いものだった。
私は「ほっ、4番目に無事到着できた(7チーム内)」と安堵したのに対し、他のメンバーで「なーんだ、1番じゃないのかぁ」と悔しがっている子達がいたり、笑。自分という人間を振り返るネタも盛りだくさん。
他のチームでは事前課題の読み物で出て来たジレンマや衝突を体感したところもあれば、チームビルディング効果を感じたところもあり、賞品があるわけじゃなかったし、とリラックスして終始のんびり取り組んでいたチームもあった。
どう取り組み方を改善できるか、今回の活動は「Group Learning」だったのかどうか?という問いにも答えは多種多様。
また、事前の小課題において「もっとグループのメンバーを知る機会がないとまだ『学び合うグループ』にはなれない気がする」という意見や「我々のグループ・クラスでは深い学び(2nd loop learning)を得る際に必要とある『自身のアイディンティに関わるような衝突』の機会がない気がする」という意見をクラスの中での何人かが持ち始めたタイミングでの「performance task under pressure」だったから。
毎回のクラスで期待を裏切る何らかの仕組みを提供するWilson教授がますます好きになってます。
第二回の読み物については前回記載しましたが(個人的にはHackman(2002)のものと、Lotan(2003)のものが面白かった)第三回と第四回の読み物からのオススメは以下の通り。
Group Learningに関するリサーチは20年ほど前から発展してきた分野のようで、与えられる読み物は比較的新しいものが多い。(もちろんその中にLewinだったりVygotskyだったりDeweyだったりPiagetというクラシックな方々の名前も良く見るのでだんだんと理解が深まる)
この秋学期このクラス以外はhands on project的なものばかりなのでこのクラスがなんとなく自分の想像していた「大学院生っぽい」読み物が結構ある唯一の授業。一つのエリアの理解をじっくり時間をかけて学んでいくっていうのはなかなか出来ないものだから楽しい。
マニアックすぎるだろうか。。
4回目の今日(毎週1回のクラス)、ちょうどいいタイミングで「Field Trip(課外活動)」が計画されていた。
なぜ「ちょうどいいタイミング」だったかを説明する前に、今までの全体のこのクラスの流れを整理。(将来HGSEに進学予定でこのT-402のクラスの履修を考えている人が万が一いたら読まないことをオススメします、笑)
Group Learningの授業の流れ
第一回(以前ブログに書いていたもの)- テーマ:「グループ」とは何か
- 事前課題:特徴の異なる読み物4種
- 当日:ランダムに4つの記事を担当し、スモールグループ(4人)で以下の点をディスカッション(主要論点、他の記事との関係性)
- 教授ファシリテートによるクラスディスカッション
- 大きな考え方・捉え方を学ぶ
- 上記体験を踏まえ動画を一つ鑑賞
- クラスディスカッション
- テーマ:「自身のGroup Learningにまつわる体験の共有と自分はGroup Learningに関するどのような問いをこのクラスで深掘りたいと考えているか」
- 学期中ずっと所属することになるスモールグループメンバーで上記をオンラインディスカッションTeaching Assistantがその内容に関して議論促進のための問いをオンラインにポスト
- テーマ:「グループの『有効性』について考える」
- 事前課題:特徴の異なる読み物4種
- 当日:ランダムに指定されたスモールグループで各記事について第一回と同じ流れ(ただし第一回とは違うメンバーで、プロセスについて少し改善工夫をこらしたりする余地あり)
- 第一回と同じ(クラス全体→コンセプト→動画鑑賞)
- 今回の事前課題の4人の著者の一人を選び、その人の視点で動画に登場した教師に対するアドバイスを考え、全体に共有
- テーマ:「グループとしてのパフォーマンスとそこで起こる学びが交差する時」
- 事前課題:特徴の異なる読み物4種
- 当日:自分で選んだ(ここが新しい!)記事に関するスモールグループで第一回と同じ流れでディスカッション
- 第一回と同じ(クラス全体→コンセプト→動画鑑賞)
- 動画はデザインファームIDEOのビデオ、これは果たしてグループとしてどうなのか、について今までの読んだ課題での視点を全て使いながらクラス全体で分析、意見交換
- テーマ:「今まで学んだことを用いて本クラスの中の『Group Learning』経験について考察せよ」
- 前回の小課題の時と同じメンバーでオンラインでディスカッション(前回もそうだったけど最低二人へのFBが義務づけられている)
- 同様にTeaching Assistantからの問いが入ったりする
Group Learningを体感するための宝探し
第四回(本日!雨の中の課外活動)- テーマ:今まで学術的な論文の理解などDescriptive Researchが多かったがこれからグループに関するDynamic Researchが入ってくる(ジレンマやダイナミズムに焦点を)
- 事前課題:特徴の異なる読み物2種→ただし課外活動だったので議論は来週
- 課外活動:今まで小課題でゆるやかにGroupとして形が出来始めていたスモールグループに「宝探しミッション」が渡される。
- 私達のチームは5人。1人(チーム内で選出)はオブザーバー。残りのメンバーがどうタスクに取り組むかをひたすら無言で記録。
- 残りのメンバーには一人一人異なる「道具」が入った紙袋が9時30分に渡され、10時15分に「とある場所」に集合せよ、という指示が。
- 道具には定規やひもや地図や指示文や10枚の写真や・
- どこに行かなくてはいけないかを理解するために必要なヒントがあるのだけれどもとにかく一つだけじゃどうにもならないような設計になっている。(道具をフル活用しても難しい)
- 9時45分までは教室内で作戦会議。そのあとは「GO! GO! GO!」という寝不足気味の金曜には辛いロケット発射スタートの朝。
After Actionの振り返りでの気づき
結局最終的にゴール地点はIDEOのボストンオフィスだったわけだけど、このゴール到着後のプロセスの「振り返り」が本当に面白かった。タスクに取り組んでいるときは必死だったけど、振り返ってみるとメンバー内でも色々なダイナミックスやメンバー構成員の特徴が浮き彫りになってくるから。自分たちのパフォーマンスをメタ認知する時間。
そのあとのクラス全体のディスカッションでは他のチームからの気づき(自分達と同じだったり全く逆だったり)も加わり、何時間でも話し続けられるほどの振り返りネタがあった気がする。
明確に役割分担をした訳でなくても自然に役割が出来ていたり、数十分の間に役割がシフトしていたり、チーム全体ででこぼこが発生したときに誰かが補強や強化に入っていったり、、オブザーバーの事後共有内容はとても示唆深いものだった。
私は「ほっ、4番目に無事到着できた(7チーム内)」と安堵したのに対し、他のメンバーで「なーんだ、1番じゃないのかぁ」と悔しがっている子達がいたり、笑。自分という人間を振り返るネタも盛りだくさん。
他のチームでは事前課題の読み物で出て来たジレンマや衝突を体感したところもあれば、チームビルディング効果を感じたところもあり、賞品があるわけじゃなかったし、とリラックスして終始のんびり取り組んでいたチームもあった。
どう取り組み方を改善できるか、今回の活動は「Group Learning」だったのかどうか?という問いにも答えは多種多様。
理論▶︎アクション▶︎振り返り
私が冒頭で「ちょうどいいタイミング」と書いたのは、グループ活動に対して考える際の様々な視点をある程度理解したタイミングでの「アクションラーニング」であったと感じたから。また、事前の小課題において「もっとグループのメンバーを知る機会がないとまだ『学び合うグループ』にはなれない気がする」という意見や「我々のグループ・クラスでは深い学び(2nd loop learning)を得る際に必要とある『自身のアイディンティに関わるような衝突』の機会がない気がする」という意見をクラスの中での何人かが持ち始めたタイミングでの「performance task under pressure」だったから。
毎回のクラスで期待を裏切る何らかの仕組みを提供するWilson教授がますます好きになってます。
最後に(マニア向け)
ちなみに事前課題のセレクションも素敵。第二回の読み物については前回記載しましたが(個人的にはHackman(2002)のものと、Lotan(2003)のものが面白かった)第三回と第四回の読み物からのオススメは以下の通り。
- Marsick & Watkins (2001)のInformal and incidental learning →職場やその他の場所での大人の学びについてのもの
- 大人の学びにおけるTransformative learningというレベルの捉え方を導入したCranton (1996)のもの
- そして重い読み物だけど有名なArgyris & Schon (1996)のSecond Loop LearningやReflectionの重要性のもの。アージリスは日本でも有名、「組織学習」分野の権威でビジネスに精通
- Smith & Berg (1987) のグループにまつわる7つのパラドックスを説明したもの、Berg教授は色々な経緯を経て今はなんと精神科の教授の様子。Smith教授はOrganizational change and leadershipの専門家。
Group Learningに関するリサーチは20年ほど前から発展してきた分野のようで、与えられる読み物は比較的新しいものが多い。(もちろんその中にLewinだったりVygotskyだったりDeweyだったりPiagetというクラシックな方々の名前も良く見るのでだんだんと理解が深まる)
この秋学期このクラス以外はhands on project的なものばかりなのでこのクラスがなんとなく自分の想像していた「大学院生っぽい」読み物が結構ある唯一の授業。一つのエリアの理解をじっくり時間をかけて学んでいくっていうのはなかなか出来ないものだから楽しい。
マニアックすぎるだろうか。。