Tomoko Matsukawa 松川倫子

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[課題読み物メモ] A paradoxical conception of group dynamics

9月28日向け
T-402 Group Learning

"A paradoxical conception of group dynamics." (1987) - Smith & Berg
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■背景
・グループのダイナミックスに触れた文献には①グループ内の衝突を無視したもの、軽視したもの、または②グループ内の衝突をグループが機能していないことの象徴として「解決 -resolve-」すべきものが多い

■この論文の主張
そもそも多様なメンバーが集まったグループそのものが本来矛盾に満ちているものである、その点を理解し、「衝突」だと思っていたことを「解放」するべき(グループの活動にとってそれらが必要不可欠だということを理解する)「解決 -resolve-」するべき問題なんて本来存在しないものだったと分かるはず

■この論文が主張するグループにまつわる7つのパラドックス
① Paradox of identity ② Paradox of disclosure ③ Paradox of trust ④ Paradox of individuality ⑤ Paradox of authority ⑥ Paradox of regression ⑦ Paradox of creativity


■これを私の教授 (Wilson) がまとめたものが以下の4つのバランス(彼は「tension(緊張)」という単語を使っています)

Knowing - create shared certainty and maintain doubt:グループ全体として知っていることを共有しつつ疑問を持ち続けるというバランスの重要性(後者ができないと学び続けることができない)

Trusting - demonstrate competencies and disclose vulnerabilities グループに対して自分の強みや貢献を提示しつつも弱みを開示するというバランスの重要性(後者ができないと学び合うことができない)

Belonging - create a collective identity and maintain individuality グループ全体でアイディンティを確立させつつも 個人個人の「らしさ」も維持するというバランスの重要性(前者が強すぎるとグループシンクの危険もはらむことに、後者が強すぎるとグループとしてのまとまりが生まれない)

Leading - influence through vertical and horizon power タテと横のリーダーシップのバランスの重要性(leaderとleadershipというものは異なるものである)Leadershipは"Social interaction of influence"であり人と人の関わり合いの中で生まれる影響力のこと。どのような年齢、立場にある人も発揮し得るものであり、一人のみが発揮するものでなく、共有されるものである。


“Leadership can be –and, at its best, often is –a shared activity. Anyone and everyone who clarifies a team’s direction, improves its strategy, secures organizational support  for it, or provides coaching that improves its performance is providing leadership.” (Hackman, 2005)

こちらの大学/大学院の出願願書のエッセイの問いに「あなたがリーダーシップを発揮したエピソードを述べよ」というものが良く出てきますが、学級委員とか部活の部長とか生徒会のリーダーをしてなかった人でも「リーダーシップ」の捉え方次第で色々なことが書けるのだということが分かります。

最近経営の世界で 「オープン・リーダーシップ」や「 サーバンリーダー」という言葉も使われてきているように、リーダーシップというものの捉え方が一昔前より柔軟になってきているような気がします。