「子どもの貧困」と教育 in 日本〜TFJとLIP
Teach for AmericaというNPO
アメリカの非営利組織(NPO)「Teach for America (TFA)」によって確立された以下のモデルが世界で注目されています。現在は「Teach for All」という多国間ネットワークを通じて世界23カ国に横展開中。
「『経済環境、家庭環境、さまざまな事情で十分な教育を受けられない子どもたちが多くいる地域・学校』に対して『熱意と志のある有望な若者たちを教師として派遣』する」という仕組み。
同組織の目指している「ひとりひとりの子どもの可能性が最大限活かされる社会」の実現に携わる過程でその派遣された「若者たち」が「社会へ出てリーダーとして活躍する上で大切なことを学ぶ」といったwin-winの仕組みを目指しているようです。
教育免許の有無に関わらず2年間アメリカ国内の一流大学の学部卒業生を学校に常勤講師として赴任させるプログラムを提供するTFA。1990年に大学4年生だったWendy Koppsさんが設立。2010年度の全米文系学生就職先ランキングで1位を獲得。最新の2012年度ではWalt Disney、国際連合に続いて3位とのこと。
また、TFAはプログラム修了生に対して数多くの大学院進学先や就職先とのパートナーシップを結んでいて、今回の自分の進学先であるHGSEもパートナーシップを結んでいるため、実際自己紹介文を見ていると今回同級生になるメンバーの多くにもTFA経験者がいる模様。
Teach for Japan(TFJ)とLiving in Peace (LIP)
そもそも教育分野や社会活動にアンテナが高い人は昔から知っていた話なのかもしれないこの仕組みの内容を自分が初めてしっかりと聞いたのは今年4月のWendy Kopps氏来日セミナー。そこに行ったのは単純に自分の進学先となるHGSEの先輩である松田悠介さん(Teach for Japan代表)の話に興味があったから。
そこで知った日本における世帯年収の格差を背景とする教育機会・提供される教育内容の格差の現実、最終学歴の違いが年収に与える具体的な影響・・日々自分が感覚的に存在を感じていた「日本の深刻な教育格差サイクル」の具体的な状況を知りました。OECD加盟国の中で日本は相対的貧困率が4番目に高い国とのこと。日本で多くが報道されていない&自分が知らないまま大人になってしまったと感じる「子どもの貧困」・・・・
そういえば、NPO法人Living in Peace(LIP)の2つある主要活動の1つである「教育プロジェクト」も志高い同世代メンバーが取り組んでいるものの一つ。ここでは全国に約580存在し、3万人以上の子どもたちが生活している児童養護施設に注目し、児童養護施設に対する活動から教育プロジェクトを展開しています。
メンバーは全員パートタイムでそれぞれ本業で仕事を持ちながら活動している点も特徴的。同NPOの代表であり友人でもある慎泰俊さんの著書「働きながら、社会を変える。〜ビジネスパーソン「子どもの貧困」に挑む」はオススメ★★★★★です。
リーダー達の「心のスイッチ」
松田さんと慎さんを見て(そして彼らの歩いて来た過去数年の軌跡を見て)思うことは「それぞれの実体験(見たもの、聞いたもの、感じたもの)が行動を押し進めるdriveの源になっているのだな」、ということ。
個人一人一人がその人なりの「心のスイッチ」(ON/OFFというタイプのスイッチから、次第に沸点に達するタイプのスイッチまで)を持ち、それぞれのタイミングで自分が思ったように行動している。
そして同世代の二人と彼らの元に集まり共に活動している多くの仲間(世代を問わず)を見ていると、前向きのパワーと将来に対する希望をもらえます。
興味のある方は同NPO主催のイベントなどに参加してみてご自身の目で見て、耳で聞いて、感じてみてください。