Education Innovation Day@iLab見学
休憩代わりに某クラスの最終発表の見学へ
昨夜プレゼンがあった「Designing and Producing Media for Learning」に向けて過去三日間ほど無理をしたため昨夜の五時間クラス後はほぼ廃人になっていた私。
今朝は9時からSkypeがNYと東京の仲間達の間であったため、重い身体を引きずりながら、なんとかPCの前にスタンバイ。Skypeではディスカッションが想定以上に活発になり、やるべきことも明確になり、コールが終わった10時半過ぎにはすっかり目も頭も冴えました。
そのあとはAcumen関係の作業を黙々とこなし、午後はiLabで一般公開されていたA132という今年初めて開講されていた授業の最終プレゼン見学に行ってきました。
今日だけは「課題」をやりたくなかった・・・完全に「おさぼり」の一日。
今日のボストンはとってもいい天気。のんびりと自分の寮からケネディスクールの芝生を通過し、橋を渡り、ilabのあるビジネススクールに向かうことにしました。
図書館の向かいにある道ばたのお花 |
金曜の朝8時半から教育学部から遠く離れたilabでの授業。「This course is for those who are interested in better understanding how social entrepreneurs can generate sustainable educational innovations.」とあります。
このクラス、少し気にはしていたものの、同じ時間に設けられているApplying Cognitive Science to Teaching and Learningを取ることにしたので(そしてこれは教育学部経験中トップ3に入る授業となりました、このブログのメタ認知のところで色々書いています)何が行われているのか実はあまり知りませんでした。天気も素晴らしく、歩きながら途中まで「ちょっと面倒だな」という気にすらなっていました。
とはいえ、
・1月と2月にそれぞれ自分達でビジネスプランを企画して、プレゼンするという密度の濃い学びを体験したり
・xDesignのカンファレンスでは今回のテーマに若干近い「教育分野の新規事業アイディア」を聞く機会があったり(関連エントリー)
・自分が参画するIOCAとしてハーバードが主催していたCultural Entrepreneurshipのコンペに応募する経験をしたりしていたので、(関連エントリー)
今回の発表会には少なからずの興味がありました。
特に
・参加者の大半が教育学関係者であり、私なんかよりも世界の色々な教育現場の実情を良く知っている人達が 起業アイディアを創った
ということが自分が見学しようと思ったきっかけです。
充実していた最終発表
A132の最終プレゼンテーション |
全部で25のチームまたは個人が制限時間1-2分の間にアイディアを共有。そのあとの交流時間で自分たちの担当ブースでプレゼン、自由に質問に答える、形式です。全体で100人ほどの参加者がいたような気がします。
何より学生の国際色の豊かさが印象的でした。セネガル、インド、中国、パキスタン、アメリカ、UAE、レバノン、コロンビア、チリ、ペルー、パプアギューニア、インドネシア、など
そして(プレゼン資料なしのチームもいましたが)発表チームの8割以上はpowerpointではなくprezi使用。留学してから出会ったツールですが、既に圧倒的ポジションを教育現場では築いている気がしました。コンセプトの可視化に優れているので私の周りでは教師経験者と起業家に多くの使用者がいる気がします。(関連エントリー)
全部のチームにプレゼンが終了した後、教授から会場全体に向けて「今日見たこと、きいたこと、感じたことなどなんでもいいので 一言!」とマイクが回されました。
「inspired」「thank you so much」「これから頑張ります!」や「こんなに多くの仲間が世界のあらゆるところで教育に関する問題に パッションを持って取り組んで行く世界に希望を感じる」「時に起業家は孤独を感じやすいけれども、かけがえのない仲間を得た」など非常に前向きなコメントが多く聞かれました。
「単なる事業アイディア、課題解決のアイディアのみならず皆が個人的なパッションを深く持ってとりくんでいることが印象的だった」とコメントしたビジネススクールの学生もいました。「社会起業というくくりではなく、世の中の全てのビジネスがこのように社会的意義を明確に持っている世界を楽しみにしている」というコメントもありました。
また、外部の起業家で訪問者として参加していた方々からは「ビジネス経験が比較的足りないという遠慮がまだ感じられるのでもっと堂々と」。メキシコからこの発表会のために渡米した社会起業家の方からは「実行してみて初めて分かる大変さもあるから頑張って」というコメントがそれぞれありました。
「興味を持ったものから始めよ」
25個あった中でアイディアそのものが「お!」と思ったのは3つほどでしたが、それよりも世界各国のプレゼン者からの発表内容を通じてその背景にある各国それぞれの教育事情や優先的に解決すべき課題が何なのかを多く学ぶことができました。また、全員からはそれぞれが、その課題解決の重要性を心底信じていて、自分ごとであると強く認識していることがヒシヒシと伝わってきました。
また、アイディア立案者のパッション、当事者意識はもちろんですが必ずしも同じ境遇や体験をしていない聞き手に当事者意識や共感する気持ちをいかに喚起するか、印象に残ったプレゼンにはここが上手くできていた気もします。
最後の、担当教授からのメッセージが素敵でした。
「(解決したい)課題から始めよ、とは良く言うけれど(自分の)興味を持ったものから始めよ、と言いたい。自分が当事者意識を持てるもの、から始めるべきだ」
「課題を要因分解・分析(deconstruct)することよりも解決策を組み立てる(construct)することの方が難しい」
「君たちは恵まれている。・・・・・・・・・世界をより良くしたいと思うことができる境遇にいる、これは恵まれていることだ。・・・・・・・・・君たちは恵まれている。・・・・・・・・・そのような願望や意欲やモチベーションなどを行動に移すための勇気を持っているからだ、これも皆が持っているわけでない・・・・・・・・・君たちは恵まれている。・・・・・・・・・行動に移すための人格、能力・スキルを持っている。そして、(このクラスで頑張ったように)粘り強いコミットメント精神を持っている。・・・・・・・・・これは恵まれていることだ。・・・・・・・・・今後の活躍を多いに期待する」
最近社会起業家やNPOが日本でも主要メディアで普通に取り上げられるようになりましたが(ここに載っている団体は最近常連さんですね)やっぱり大切なのは立ち上げる人間としてはもちろん、ボランティアとして関わる人間も、「自分が心底興味を持っていて、関わりたいと思っているか」という点は重要だと思います。
個人的には他の友人達が関わっている事業やNPOは心底素晴らしいとrespectフルな気持ちでいっぱいですが、全ての社会課題に対して自分事として関われるか、というとそれは別の論点になると思います。20代半ば〜数年前までは「自分も何か社会の為になることを
しなくては」と焦ったりすることもありましたが、最近では「社会の為になることをする」って色々な形/分野/スケールがある、と思うようになりました。
ということで私は私の出来る事を(といいつつ、「自分に出来る事」を活性化(分野を広げたり、深みを与えたり、凝り固まってくるあるべき姿を柔軟に変えてみたり)はし続けたいです)コツコツとやり続けることができれば幸せだな、と思っています。
色々なインプットを得て自分がそれまで見えていなかった社会の部分を知ることは「興味を抱く」の第一歩でもあると思うのでそういう経験も引き続き重ねていきたいとも思っています。
それにしても他人の行動や発言を見て触発される、という体験は何度経験してもいいことです★感謝、感謝。deconstructのみならず、construct、したいです。