カンファレンス参加時の4つの心得

先週末ハーバードのSocial Enterprise Conference(通称SECON)に行ってきました。小さなデザインシンキングのワークショップのHostとしてAcumenのスタッフとして行ったのですが、いくつかセッションに聞き側として参加することもでき。こういう大きめのカンファレンスに参加するのって久しぶりでした。

SECONはビジネススクールとケネディスクールのコラボで開催されているものです。昨年は大学院生として参加していたのですが、今回は働き人としてわざわざボストンに行っての参加でした。

土曜の午後から日曜の夕方までの1日半。二ヶ月前にパリのUNESCOのイベントに参加した時も思ったことがあったのですが、この機に整理しておこうと思ったので書いてみようと思います。「カンファレンス参加時の心得」

次に大きなカンファレンスに行く時の将来の自分の為に。

その一、体力

当たり前ですが、passiveじゃない、activeな参加をするためには体力超重要。頭も使うし、口も使うし、足も使う。水分大切、睡眠大切。集中力や高めのテンションを要求する空気がカンファレンス中に多く存在しています。無意識のうちにもエネルギーが消耗されていきます。

その二、記憶力をアウトソース 

次から次へとインプットがあるので、いかにそれらをcapture(捕まえて)➡︎archive(保存する)かが大切。人によって手段はバラバラであるだろうこのプロセス。私の常套手段はevernoteとiphone写真の組み合わせ。表示されているスライドに一定量以上の情報や印象的なビジュアルが入ってたら写真を撮る方がメモをいちいち取るより手っ取り早い。PCがない場合は手元の紙へのメモとiphoneの組み合わせ。

プログラムの配布資料などが手元にあったり、スピーカーのプロフィールとか余白書き込みの方が効果的な部分は敢えてevernoteは使わず。また、コンセプトマップとかevernoteへのインプットがしづらいものも手書きがベスト。

何を何の為にevernoteに書くか。

スピーカーが話してる内容の構造を見える化、整理。自分が共感したフレーズや引用されていた外部リソースのメモ。自分が気になった「後で調べたい」コンセプトやキーワードのメモ。話を聞きながらゆとりがあったらその場でchromeで別タブを開いてGoogle検索、関連リソースのリンクをevernote内に貼っておく。

evernoteの素晴らしさは検索機能。後日単語検索すると自分の記憶からとっくに消え去ってたカンファレンスや人にあっていた時に聞いたメモが引っかかることが多い。そのときにそれが登場した時の文脈/背景が一目で見れるようになっていると記憶を引っ張り出すのにとても便利。

evernote記載時はスペルミスなど細かいことは一切気にしない。とにかく自分のアンテナにひっかかるものはひたすら書いていく。

その三、So what nowを考える


Evernoteに書きながら同時に考えたいことは、so whatの部分。自分の日々やっていること、考えていることを踏まえ、共感するところはどこか。更に質問してみたいところはどこか。後日フォローしたほうがいい情報はどれか。時間的にゆとりがあったらメモをとりながらそういった自分の妄想も随時メモ

後日のTo Doにつながりそうだった場合はそれで大丈夫。むしろその場でより意識しなくてはいけないのはセッションの開催されている部屋を立ち去る前にしなくてはいけないTo Do。パターンは二つ。質問をQ&Aの時にするか、セッションが終わった場合に名刺交換しに行くか

質問をする場合は、自分が質問をする背景と質問の内容を周りの人の時間の無駄にならないようにある程度整理する必要がある。なぜ自分はこういう質問をしたいのか、何を誰に聞きたいのか。簡潔に、有意義に、皆の時間を使うこと。(を意識したいところ)

名刺交換をする場合は、どう簡潔に自己紹介するか、相手に興味をもってもらえそうなネタ(掴み)をどれにするか、相手とコネクションをつくることで自分は何を得たいのか。


全員の前で質問をするという行為は何度やってもまだまだ緊張する。でも、質問をすることで得られる副産物はものすごい多い。スピーカーの人との名刺交換もスムーズになるし、パネルの人が言ってくれなかった聞きたかったことを教えてもらえるし、しかも質問を聞いた別の参加者からセッション終了後に声をかけられることも多い。しかも自分の論理的思考?プレゼンテーションスキルを反省する学びのきっかけにもなるし、勇気を出して手を挙げることは決して無駄ではないと思う。また、質問をした人で面白い人がいたら自分も声をかけようと意識したりしている。

このメンタリティは少なからずグロービスで培われたもの。グロービスではマネージャークラスの人達が世界各地で開催されるWEFの地域カンファレンスに定期的に参加していて、そのときのノルマが「会場から質問をすること」と「名刺交換を50回すること」— 彼らの社内向けの参加報告のメールを読む度に「発信したことで得た良かったこと」が触れられていることが多くて、きっとそれに何度も触れていたことが自分の考え方に少なからず影響を与えている気もする。

ということで2012年に大学院に留学した時からカンファレンスなどの機会に恵まれていたので意識的にやってみるようにしているけれど、何度やっても緊張するし、「失敗したな、あの発言の仕方」と思うことの繰り返し。でも中長期的に得ていることのほうが何倍も大きい。自分の中に存在するちっぽけなプライドや臆病者を乗り越えるのはまだまだ楽ではないけれどもね。

その四、振り返る+フォローする

このプロセスは出来る限り早くすることが大切。カンファレンスが複数日なら一日一日の最後にやるのがおそらく本当はベスト。私は今回二日が終わり、その後の一日のミーティング漬けが終わった後のニューヨークへの帰りの電車で3時間半以上かけて(しかも終わらなかったけれど)やっていた。今思うとあの時にやっておいて本当良かった。普段の業務が再会したらフォローアップどころじゃない・・・

具体的にはEvernoteのメモを振り返り、誤字脱字を直しながら全体でどういうことがあったかを俯瞰する。追加でgoogleで検索してみたほうがいいものも再確認しながらオンラインのリソースに当たりながらセッション中で得たインプットを一旦(忘れるとしても)自分の中に落としこんでいく。大学院の時みたいに比較的時間があったときはこのブログの下にまとめたようにそのインプットそのものをブログにまとめたりするのも自分の中での理解深化に役立つと思っている。

またセッションで見聞きした内容の整理以上に重要なのが会場で出会った人それぞれの会話の内容や次のアクションについての整理。ひとつひとつ思い出しながら補足メモをつくっておく。これは大学院時代はあまりやらなかった作業だけれど今回はこれこそがカンファレンス参加のエッセンスであったように感じる。

あの時に会話したあの人。
あの仕事をしているといったあの人。
あの情報をくれるといったあの人。
こういうことが知りたいといっていたあの人。
あの人が言っていた面白いよ、といったこの情報。

会話の後に名刺の裏に走り書きした内容をそれぞれ丁寧に紐解いて行く。
実は相手の組織のことも良く分かっていなかったらクイックにGoogleで確認。

そしてそれぞれ簡単にフォローメールを書く。既にメールやlinkedinをくれている人にはこちらから個人個人とした会話に合わせて返事を書く。

こういう時にいつも思うのは立場が上の人達のほうが反応が早いな、ということ。びっくりするくらい早い。向こうから先に来たりするとこっちが焦る。こうやってカンファレンス参加前には想像もつかなかった次のコラボレーションの可能性や次のアクションプランが生まれたりする。

このプロセスはGSで機関投資家に対する法人営業をやっていた時に染み付いた癖だと思う。一人一人求めているものは違うし、相手を必要とするタイミングも違うかもしれないけれど「こういうことをしている、こういう人がここにいる」という認識をお互い持っていればいつか必要な時に気軽にコンタクトがしやすくなる、そんなかんじ。だから一人一人フォローする。

体力的にハードで、通常業務に戻ってしまうといきなり遠くに感じてしまうカンファレンス参加。でも、普段はなかなか出会うことが難しい貴重な人的リソースに恵まれるという非常に魅力的な収穫がある。だから人はカンファレンスに参加するために遠くからやってくる。その貴重な場を最大限活用するべく私が意識していることは以上の4つ。



大学院生の時に参加した各種カンファレンスにおいても、得られるインプットに関しては比較的貪欲だった方だと思うけれども、フォローオンのアクションはほとんどなかった。これが働き人としてカンファレンスに参加して感じるところとの違いか・・・といったことを感じたのも今回体験した新しい発見でした。

・ハーバードの教授達を対象にしたイベント
HILTカンファレンス参加:ハーバードでの教え方+学び方の進化のために

・ハーバードのデザインスクール主催のイベント
「The Future of Work Space」参加+α 

・デザインスクールとビジネススクールのコラボのイベント
HBS&デザインスクール初カンファレンス
xDesign - デザインと世界が交わるとき
xDesign - Opening Night
xDesign - 詳細版(IITのID)

学生じゃないとカンファレンス参加費はどこも結構高いので参加しづらいですが、またいつかどこかでカンファレンスに行けるといいなぁ、と思っています。

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