Tomoko Matsukawa 松川倫子

View Original

Center on the Developing Childという研究所

HGSEの受験をした時の志望動機には「大人の学びに対する理解を深める(テクノロジーを活用した学びという側面で)」といったことを書いていた自分ですが、大学院の生活をしていく中で、それまでの自分にとって完全にアウェーだった幼少期教育の世界への興味が強くなっていくことを感じました。

このブログでも何度か書いた「informal learning for children」の授業では幼少期に与える環境の子ども達への影響力に衝撃を受け、その想いに突き動かされるようにして「Young Children and Their Contexts: An Interdisciplinary Investigation of the Origins and Implications of Risk in Early Childhood(幼い子供と彼らを取り巻く外部環境:幼児期におけるリスクの起源とその影響に関する学際的探求」というクラスを受講しました。

私のいるTechnology, Innovation and Educationのプログラムで同クラスを受講したのは私だけ、笑。

人の成長発達過程と学びの関係性を学ぶ「Human Development and Psychology」学科の学生や「Mind, Brain, and Education」「Prevention Science and Practice」学科の学生が多かった春学期の半期の間に開催されていたこのクラス。「TomokoはAdult Educationフォーカスだったはずだったのになんだか色々変わったことをし始めたぞ」と周りに面白がられました。

このクラスは半期なのでこのテーマをがっつりと取り組みたい人にとってはもしかしたら浅すぎる内容だったのかもしれないのですが、幼少期の発達について全く知らなかった自分にとってはとても面白い世界を見せてくれるクラスでした。

関連エントリー:「子供の頃の体験と今」

何よりも、貧困や暴力といった子ども達にとっての「リスク」と隣り合わせの生活をしている国々・地域から来ていたクラスメート達にとても多くのことを教えてもらいました。どれだけ日本が相対的に恵まれているのか、どれだけ自分の見えていた世界・課題意識を持っている諸問題が世界全体で見たときに「贅沢な悩み」なのか、ということを毎回しみじみと感じることができました(もちろん日本の中で貧困・社会課題が増えていることも認識してはいますが)。

ハーバードのCenter of the Development Child

そんな気持ちになっていた大学院生活の中で、ご縁があって、ハーバードにあるCenter of Development Childという研究部隊と関わることがありました。

きっかけは上記の授業を履修したこと。そこで教えていた先生(今は博士課程の学生中)であるMonica Yudron先生と顔見知りになり、先生が流してくれたCeter of Developing Childで短期限定インターンに応募したことがきっかけです。

インターン内容はCenter of Developing Childが2年前から実施しているFOI(Frontiers of Innovation)という「現役の政策関係者、研究者、実践者を全米から100人超集めて3日間実施するインタラクティブなカンファレンス」の運営側のお手伝い役として。

今年のカンファレンスのテーマはbuilding adult capacities to impress the childoutcomeでした↓

See this content in the original post

インターン自体は「これ、私の大学院生としてこういう時間の使い方していいのかな?」と一瞬疑問を感じてしまうような単純作業の積み重ねでしたが、当日のカンファレンスで見聞きしたことはもちろん、ここのセンターの中の人と関わり合い、短期ではあったもののボスととても良好な関係を築けたことは(その関係を将来使うことになるかはもちろん分からないけれど)とても貴重な財産となりました。

実はハーバード教育学院のスローガンは「working at the nexus (融合する世界)of practice, policy, & research」なのですがそれが故に?自分の興味分野に世界が狭まってしまうリスクがあります。1年プログラムなのでどうしてもしょうがないのですが。

とくに私の印象ではK-12(小学校前〜高校)を専門分野としている人、しようとしている人(教師として、校長として、地域のSuperintendentとして、政策立案者として、起業家として、コンサルタントとして)がとても多く、彼らは彼らの目指す形に必要なものを中心に活動範囲を定めていきます。(TIEだけは色々な人がいるので決まった形がない比較的変わったプログラムです)

Center on the Developing Childの存在を知っている、または関わっている人も幼少期の人間発達に興味がある人、心理学や生物学、遺伝子学などに興味がある人に比較的限定されている、そういうイメージを自分は持っています。

でもこの研究所、結構凄いところで、教育学部所属の研究所Project Zeroと同様ですが、教育学部に在籍するより多くの学生との間にもっと太いパイプがあってもいいのにな、とも感じました。

関連エントリー:Project Zeroというハーバードの教育系研究所

在籍中はここのリソースをほとんど活用できませんでしたが今後必要がありそうな時はこのサイトを頻繁に訪問してみようと思っているとこです。webinarなども頻繁に開催され、アーカイブされているのでそれも卒業後も見てみようかな、と思っています。

同研究所に関するメモ(サイトより)

  • 2006年設立

  • 目的:ハーバード各大学院と提携先の病院との知見の交流

  • 心身共に健全な子どもを育成することがが社会全体に与える影響を重視する

  • 「健康」「学び」「行動」という各分野の研究内容を総合的に活用し革新的な施策のデザイン、実行、検証を目指す、政策立案と研究の橋渡し、上記を実行に移すリーダーの創出をサポートする・・など

  • なぜ今こういった動きが重要か(原文のまま)

A remarkable explosion of knowledge about the developing brain and the human genome, linked to advances in the behavioral and social sciences, offers policymakers, civic leaders, and practitioners exceptional opportunities that did not exist a decade ago.

Science shows increasing promise for improving our understanding of how the foundations of successful adaptation and effective learning in the childhood years lead to better outcomes in academic achievement, economic productivity, responsible citizen-ship, lifelong health, and successful parenting of the next generation.

Through building, teaching, and applying this growing knowledge base, we have an unprecedented opportunity today to shepherd a science-driven era to promote the healthy development of all children, particularly those whose life prospects are compromised by significant adversity.

関連エントリー: