「10のポジティブ感情」って

ちょっと前に読んでいた「ポジティブな人だけがうまくいく 3:1の法則」(バーバラ・フレドリクソン著)の一カ所を一度整理したく、久々のエントリ-。

この本は原作の英文タイトル(「Positivity: Top-Notch Research Reveals the Upward Spiral That Will Change Your Life」)と邦訳版のタイトルに違いがあるので誤解されやすいのではと思うのだけれど「監修によせて」の内容が参考になる。そこに書かれていることがこの本の方向性を示してくれている。
「人間の脳に不意に浮かび上がる気分(フィーリング)に無価値なものはひとつもない。すべてが重要な役割を持っている。暗さ、寂しさ、怒り、このようなネガティブな気分は、そのときのその人によって、とても必要だからわいてくるのである。「暗さ」は自己洞察をあえて狭めることで考えを深めてくれる。「寂しさ」は脳の活動を停止させ、心を休めてくれる。「怒り」は心の中の深い感情を、知らせてくれる。
そんな脳のシグナルを無視して、やたらに「ポジティブが一番!」と大声で笑い合い、心の奥の対峙せずに自己をもみ消す毎日。フレドリクソン氏も強調しているが、それはジワジワと心身を蝕み、病理へとつながっていく危険な生き方である」 
確かに、自分の人生を振り返っても「あの時のあの事は今の自分のためになっているな」と思う時期って「ネガティブ」にはまった状態であったことが多かったりする。

と、ネガティブな感情の存在やその意義を認めた上で、著者は「ポジティビティ(ポジティブの感情)」が人の発達にどうつながっているか、その人のその後の人生の可能性にどのような影響を与えうるか、ということを書いている。また、うまくいっている個人/夫婦/チーム内での「ポジティブ:ネガティブ」の黄金平均比率が3:1であるという研究結果とか(注目:ネガティブがゼロでない)・・。正直カバーされているものが広く、内容も濃くて、一回さらっと読んだだけだと全てを頭の中で整理することは出来なかった。

とりあえず、彼女が指している「ポジティブな感情」とは、という定義の部分が印象的だったのでそこだけ。こういう感情を抱く瞬間が彼女のいっている「ポジティビティ」貯金増になるのだな、というように。


「10のポジティブ感情」(P72〜)

  1. 喜び Joy
    補足「安全で見慣れた場所」「すべてが期待以上」「努力を必要とされる状況はほとんどありません」
  2. 感謝 Gratitude
    補足「対象は人とは限りません。新鮮な空気〜、身体に不自由がないこと〜、疲れrたときに休める安全で快適な場所があること〜」
    補足「感謝にはタチの悪い双子の兄弟がいます。それは『負い目』です。「お返しをしなければと思うときに感じているのは『感謝』ではなく『負い目』です」「感謝は〜心からそれを楽しみます」
  3. 安らぎ Serenity
    補足「安らぎは喜びよりもずっと地味な感情です」「ほかのポジティブ感情が収まったあとによく現れる」
  4. 興味 Interest
    補足「喜びや安らぎと違い、この感情は努力と集中を要求します」「興味を持つと、心は広がっていきます」
  5. 希望 Hope
    補足「ほかのポジティブ感情が、安全で満たされた状態で生じるのに対し、希望は例外です。すべて思い通りに運んでいれば、希望を感じることはあまりありません。希望は状況が非常に悪いとき、ものごとがうまくいかないとき、結果が非常に不確定であるときに生じます。絶望や失望を感じてもよさそうな状況で現れます(★)」「希望の感情の核心には『状況は変わり得る』という信念があります」「希望のおかげで絶望に押しつぶされずに済みます」
  6. 誇り Pride
    補足「タチの悪い、いとこが二人います。それは『恥の意識』と『罪の意識』です。これらは何か悪いことの責任を感じたときに私達を打ちのめします。誇りはちょうど反対で良いことの『責任』を引き受ける」「限定的で適度な謙虚さによって抑制されているならば、誇りは明らかにポジティブ感情です」「誇りは思想を広げます。誇りを感じると、同じ分野でさらに大きな成功を目指そうと考えます」
  7. 愉快 Amusement
    補足「愉快という感覚は社会的なものであること=人と分かち合いたいと感じる」「意外性は安全な状況のなかにあってのみ愉快だということ」「人と一緒に笑うのは、今の状況が安全で屈託がないこと、相手との絆を深めたいと思っている、ということ」
  8. 鼓舞される感情 Inspiration
    補足「奮い立つような感情がわいて、意識はくぎ付けになり、心が熱くなります。堕落した人間を見て感じる嫌悪の感情のちょうど反対にある感情」「これは②感謝と⑨の畏敬とともに、最も自我を超越した感情とされます。人を自己満足から引き出してくれる、ポジティブ感情のひとつです」
    補足「悲しいかな、人の素晴らしさに出会ったときに覚えるのは、鼓舞される感情だけではありません」「タチの悪い双子の兄弟=『憎しみ』『ねたみ」」「人の素晴らしさに出会ったときに、どう反応するかはその人しだい」
  9. 畏敬 Awe
    補足「鼓舞される感情と近いのですが、もう少し規模の大きい素晴らしさ(大自然など)に出会った時に感じるもの」「偉大さに圧倒され、自分自身の小ささを感じて謙虚になります。見た瞬間に身体がこわばり、足が止まります」「ポジティビティのひとつですが、安全の限界近くに位置する事もあるため、ときにかすかなネがティビティも感じます」「畏敬はまた、人を協力でカリスマ的なリーダーに感情的に結びつけることもあります。そのリーダーが実際よりも偉大に見えてしまうのです」
  10. 愛 Love
    補足「10のポジティブ感情のすべてを含んででその上に位置する感情」「瞬間的な心の状態」「『関係』を定義するものではなく、波のような感情の高まり」「親密な関係は『反復する愛の波』が作っている」


私達がとある出来事に対して上記のような感情を感じながら受け止めるかどうか、は自分達のとらえ方次第らしい。そして著者は問いかける。

「最後にこの感情を覚えたのはいつだったか」
「どこで何をしていたときだったか」
「ほかにどんなときにこういう気持ちになるか?ほかにもきっかけはないだろうか」
「この感情を増やすために何ができるだろうか」

どういうところにきっかけがあるかを考えるのが大切なんだとか。

そして・・。

「ポジティビティによって視野が広がると、より全体的な構図が見え、今の状態を正しくとらえられるので、悪いことの中にも良い面を見出すことができます。心の広さが、ネがティビティを解消して、強い立ち直りにつながるのです」(P163)

次に「ネガティブ」の波がやってきたら、こういうことをもう一度意識してみようかな。
心を広く。視野を広く、ね。ふむ。





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